ひょうごミュージアム

ひょうご碑物語『椎名麟三文学碑(姫路市書写)』

2020/11/01
 椎名麟三は、飾磨郡曽左村(現・姫路市書写東坂)の生まれ。両親とも愛人を持ち、のちに両親とも自殺したため生活に困窮して14歳で家出。旧制姫路中学を中退し、職を転々としたあと、宇治川電気(現・山陽電鉄)に入社。車掌時代にマルクスを読んで日本共産党に入党した。
 1931年(昭和6年)に特高に検挙され、獄中で読んだニーチェに感動して哲学にのめりこみ、戦後はドストエフスキーに傾倒する。1950年(昭和25年)にはキリスト教に入信。1955年(昭和30年)『美しい女』で芸術選奨文部大臣賞を受賞した。
 1972年(昭和47年)の姫路市文化センターのオープンの時、ミュージカル「姫山物語」が上演された記憶があるが、これも彼の作品である。
 1973年(昭和48年)、61歳で没。葬儀では大江健三郎が弔辞を読んだ。
 書写山ロープウエイ山上駅近くの「椎名麟三文学碑」には、彼の信条である「言葉のいのちは愛である」という言葉が刻まれており、文字は、彼と同い年で親交の厚かった芸術家・岡本太郎の筆だ。
生家も東坂に保存されている。(森山)

【メモ】JR姫路駅北口から書写山ロープウエイ駅行約バスで約30分。ロープウエイは、大人往復1000円。