新社会兵庫ナウ

水脈(2020年9月8日)

2020/09/15
 7年8か月も続いた最長政権の幕切れは、意外にも首相の突然の辞任表明によって訪れた。持病の再発という健康不良が辞任の理由で、13年前の政権投げ出し時と同じ事態がくり返された▼「新しい憲法の施行の年に」と力を込め、東京オリンピックの7月開幕を夢見たその2020年に、悲願の成就を見ることなく退陣していくとは歴史の皮肉なのか▼今後、“安倍政治”はさまざまな立場や視点から総括・検証されていこう。レガシーの有無も云々されるが、安倍晋三が残した「負の遺産」がどれほど大きく重いものか、まずはそのことを思わずにはいられない。安保問題ひとつをとってみても、首相在任中に刻み続けた“暴走”の足跡はこの小欄ではとても収まらない。人事権も掌握し、政権への忖度を官僚にも常態化させた政治の私物化と劣化。社会の分断もいとわず、強行した強権政治……▼後任はほぼ確定的だが、安倍亜流政権が当面は続こう。解散・総選挙は不明だが、いま問われているのは、むしろ野党の方だ。安倍政権によって蹂躙され破壊され続けてきた立憲主義や民主主義を取り戻し、政治の変革を進めるには今が絶好の機会だ。長年の一強政治を許してきた反省と本気の見せ所だ。