トピックス

【内田樹講演会】
内田樹氏が講演 コロナ後の世界と日本を語る 市民と野党の長田共同アクションが主催

2020/08/12
コロナ対策で入場制限がされる中でも164人が集まった内田樹さんの講演会=7月23日、神戸市長田区

 市民と野党の長田共同アクションが主催する「内田樹講演会」が7月23日、長田区文化センター(旧新長田勤労市民センター)で開かれ、コロナ対策で入場制限がされるなかでも164人が参加した。
 内田樹さんは神戸女学院大学名誉教授で、思想家であり武道家。「コロナ後の世界と日本」と題した講演でコロナ後の社会の展望などを語った。
 内田さんは、新型コロナウイルスの世界的感染拡大の問題をめぐり、政府も自治体もあまりにも楽観的なシナリオを描きすぎたとして、その根本には新自由主義的発想があると指摘。行政マンまでもが最も生産性の高いものを優先する「選択と集中」という発想で「ジャストインタイムシステム」(理想は在庫ゼロ)の経済運営に毒されてきたことが問題だと述べた。とくにそれはアメリカの医療備蓄の乏しさとなり、また、自己責任論に基づく2750万人ともされる無保険者の存在が爆発的な感染拡大のもう一つの理由だと指摘した。
 コロナ後の問題として、最大の問題は、社会が二元に分断されたアメリカで、国際社会における存在感や影響力の低下は必至だと指摘。一方、中国はワクチン開発でもアメリカをリードしていて、その優位(ワクチンカード)を背景に「医療資源外交」を促進して香港や台湾問題への批判を封じ込め、さらに政治的にも世界へ影響力を広げようとするだろうと予想。ワクチン開発競争が後の世界の地政学的な変化をつくると述べた。