新社会兵庫ナウ
水脈(2025年10月22日号)
2025/10/22
先日、「共生と平和のジャーナリスト・内橋克人の目指した地平」と題したシンポジウムが神戸市内で開かれた。4年前に亡くなった経済評論家・ジャーナリストの内橋克人さんの功績を顕彰するもので会場はほぼ熟年者で満席だった▼基調講演者はNHK「クローズアップ現代」の元キャスター・国谷裕子さん。内橋さんは「クロ現」に50回近く出演し、国谷さんと親交が深かった。番組が始まった1993年は、「失われた30年」と言われるようにバブルが崩壊し、規制緩和は様々な問題を生んだ。企業倒産や非正規労働者を増やし続けた。番組の打ち合わせでも内橋さんは口を開くと熱く語り続け、時には涙を浮かべ、人を物のように扱う社会を批判し、人を豊かにするための経済で人らしく生きる社会をあくまで追求すべきと主張し続けた、と国谷さんは振り返った▼内橋さんは神戸市須磨区生まれで神戸空襲を体験、戦後60年に「神戸空襲を記録する会」で講演した。阪神・淡路大震災では「被災者等生活再建支援法」を求めた時は、「資本主義の国で自然災害に個人補償はあり得ない」と発言した経済学者や為政者を非難し、被災者と共に国会行動にも参加した。著書も多く、お薦めしたい。


