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社会を変えたSNSの"功罪"
金平茂紀さんが神戸で講演

2025/08/27
東灘、灘、中央の3地区の憲法を生かす会が協力して主催した講演会=8月2日、神戸市中央区

 ジャーナリストの金平茂紀さんを講師に招いた講演会が8月2日、「SNS社会とメディアの使命―森友事件から兵庫ショック―疑惑の真相を追って」と題して神戸市中央区の兵庫県福祉センターで開かれた。主催したのは「憲法を生かす会・東神戸連絡会」で、東灘、灘、中央の3地区が協力して準備を進めてきた。参院選後の間もない時期の開催だったが、兵庫県内をはじめ大阪や奈良からも約90人が参加した。

 講師の金平茂紀さんはTBSの「報道特集」のキャスターとして知られ、番組を離れた現在も報道現場の第一線で活躍中。講演では、いずれも自殺者まで生んだ森友事件や「兵庫ショック」と金平さん自身が名付けた斎藤知事への内部告発問題に言及しながら、兵庫の出来事が全国規模に広がる原動力になった「SNSの功罪」について、参院選の結果もふまえて詳しく語った。
 以下は、その中からの紹介。
 1つ目は、戦後史の曲がり角ということ。
 「今日、一番伝えたいことは、参院選の結果をどう考えるか。自・公の与党が大敗したのに対し、参政党はすごく伸びている。戦争の反省の上に立って経済活動に邁進してきた日本の戦後政治を否定し、乱暴な主張をする政党に、若い世代や働き盛りの人たちを中心に急速に支持が広がった。『民主主義の破壊者を民主主義の手続きで選ぶ』、こんなことが許されていいのかと思うほどひどいことが起きてしまった。とてもショックな出来事だが、今度の選挙は『戦後史の曲がり角』だと思う」。
2つ目に、コミュニケーションの変容について。
 「今回の選挙でもSNSが威力を発揮した。SNSの特徴は、①速報性②拡散力、③刺激の絶対値(えげつなさ)だ。『日本人ファースト』『手取りを増やす夏』というようなキャッチコピーが、選挙公報も政見放送も見ない人たちの心に刺さる。若い人の投票率が伸びて前回より6ポイントも押し上げた。自分たちは『政治に参加している』と思っているが、実は壮大な世論の『誘導』が起きているという意識などはない。『知る』ことより『信じる』ことを求めている。SNSがコミュニケーションの変容を推し進め、情報の流通の仕方を全く変えてしまった」。
 3つ目は、未来像を伝える努力について。
 「参政党の党首が街頭演説で『治安維持法っていいよね』と言っていた。そんな政党が支持されるなんて思いもしなかったが、現実を受け止めなければならない。これだけ右に寄った国家観を示してくる動きが危険だと思うのなら、私たちはこれからどういう社会を残していくのか。生活苦の中で自分の将来に希望を持てない若い人たちに、未来像(ビジョン)を伝えなければダメだと思う。内輪だけでまとまらずに、伝承する努力を諦めてはいけない」。
 講演会では、講演後に兵庫県職員(兵庫県職労役員)から斎藤知事のもとで、いま、職場はどうなっているのかについての報告もあった。
(憲法を生かす会・東灘 岡)