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被爆80年の夏―
今年も「原爆と人間」絵画展

2025/08/11
広島の高校生が被爆体験者の証言を聞きながら共同で制作した絵の展示が静かに、強く戦争の悲惨さを訴えた=8月11日、神戸市中央区

 広島、長崎の被爆から80年という節目の年の夏、神戸市原爆被害者の会(立川重則会長)は、「『原爆と人間』写真・絵画展」を8月7日から12日までの期間、JR神戸駅南の地下街のデュオぎゃらりーで開いた。同展は、1998年から「戦争の悲惨さと核兵器の恐ろしさを伝え、人間同士が殺し合う愚かさと平和の尊さを感じていただくため」に、と始められたもの。
 今年も絵画が中心の展示で、広島の高校生が描いた「原爆の絵」は、写真とは異なる迫力と重みをもって戦争の悲惨さや非人間的な残酷さを伝えた。「被爆者が高齢化するなか、被爆の実相を絵画として後世に残すこと、そして、絵の制作を通して、高校生が被爆者の思いを受け継ぎ、平和の尊さについて考えることを目的として」、広島市立基町高校の美術部の生徒が2007年から被爆体験の証言者との共同制作で「原爆の絵」を描き続けてきた。証言者の記憶に残る被爆時の光景を高校生が聞き取り絵にするために、何度も打ち合わせを重ねながら、約1年をかけて当時の惨状を克明に描き出したものだ。展示された絵の横には、描いた高校生と証言者の両者の制作後の感想も添えて紹介されていて、いっそう見た者の胸を打つ。
 会場前の通路から立ち寄った来場者らもじっと絵に見入っていた。
 なお、同展は来年からデュオぎゃらりーの閉鎖に伴い、会場を元町商店街のなかにある「こうべまちづくり会館」(元町通4丁目)の地下のギャラリーに変更される。