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参院選結果から考える問われる〝左派〞の陣営構築
2025/08/13
第27回参議院選挙が終わり、歴史的とも言える事態が生み出された。そのひとつは、言うまでもなく与党の歴史的大敗である。石破首相自らが公言した、自公合わせて過半数という低めの「必達目標」にも達せず、衆議院につづき参議院でも少数与党に転落した。22年の前回参院選から自民党は議席数で13、比例代表の得票数で約540万票減らし、公明党も議席数で6減、同得票数では100万票近い減となった。
もうひとつの事態が、その自公政権への不満や怒りの受け皿となった国民民主党と参政党が急増・躍進したことである。国民民主党は比例代表で前回の2倍以上増の約446万票増で得票数では野党第1位に、参政党も4倍以上増の556万票増で野党第2位となり、それぞれ13議席増を果たした。両党に共通したのは、「手取りを増やす」「日本人ファースト」などのワンフレーズのキャッチコピーとSNSの駆使で、いわゆる現役世代、比較的若い層を取り込んだことだ。一方、立憲民主党は現政権批判票の受け皿とはなりえず、約63万票増やしたものの得票数では野党第3位となった。
今回の与野党の獲得議席の数からすれば、政権交代も可能な状況だが、野党がバラバラの状態でその中軸となるべき立憲も伸び悩んだ状況ではとても政権交代には踏み出せない。逆に大敗した石破首相から「続投宣言」が出る始末で、当然、自民党内からも退陣要求が噴出し、党内の混乱・混迷は収まらない。党自体がこれだけの大敗北をしても、これまで通りの派閥が暗躍するような醜悪な権力闘争を見せている状況では、現政権がいつまでもつのかは見通せず、自民党はもはや溶解していく過程にあるのではとさえ思える。一方、野党の側も不信任決議案にも手を出せず、様子見を決めこんでいる状態だ。
こうした新たな政治状況が生まれたことについて、今後の連立政権の枠組みの変化も含めた政権運営をめぐって「転換期」と評されていることが多いが、私は、それとは意味合いが違う「歴史的な岐路」として今回の選挙結果を考え、今後の私たちの運動を意識しなければならないのではないかと考える。
たしかに、たんなる与党対野党という枠の括り方ではなく、退潮した「既成政党」対急伸著しい「新興政党」という構図にも注目して投票意識を分析する意味はあろう。また、いろいろと論じられているが、極右政党と言うべき参政党がここまで躍進した背景やその支持層についてのさらなる分析も必要だ。ただ、この稿ではその課題まで触れることはできず、別の機会に譲りたい。
政治運動にかかわる立場から強調したいのは、改憲勢力と護憲勢力の力関係は今後、どうなっていくのかという視座であり、さらに言えば、いわゆる「左派・リベラル」と右派のポピュリズム的政党・勢力の対抗関係が今後どうなっていくのかという視座である。
重視すべきは、今回の参院選で敗北・後退したのは自公与党だけではないということだ。いわゆる「左派」の共産党も比例代表で約75万票を減らし、4議席を失っている。
同じく「左派」の社民党も、薄氷を踏む思いで辛うじて政党要件は維持しえたが(ちなみに言うなら、その意味でも私たちが兵庫選挙区で社民党の選挙をたたかい、比例代表の票を約1万5千票押し上げたことに貢献できた意義は、ささやかなものであれ再確認しておきたい)、前回よりも得票数は減っている。
れいわ新選組と立憲民主党を加えてこの4党を「立憲野党」、あるいは「護憲勢力」として括ったとしても、一方の改憲勢力をみると、日本維新の会が2、国民民主党、参政党がそれぞれ13、保守党が2増えたことで相対的な勢力比はさらに落ち込んだ。しかも、自民党の「右側」には、参政党の急増にとどまらず、保守党も新たに登場してきた。
こうしてみると国会内の構図は明らかに「右」にシフトしたと言える。しかし、この構図が国民の意識そのものの右傾化の反映と断じていいのかは疑問に思う。今回、改憲問題や憲法の価値観そのものが争点として戦われたわけではなく、それとは違う次元や範疇での判断、つまり物価高や生活苦、将来不安などの不満・不安の噴出が今回の結果を生み出したことのほうが大きいとみるべきだろう。
だが、力関係は厳しく、歴然としている。「左派・リベラル」が、組織づくり、とりわけ若い層の取り込みに立ち遅れ、組織的にも衰退し、いまを招いている。私たちは、その地点から、いま一度、あらためて組織づくりを含めて(ちなみに、参政党はSNSだけでなく、「地上戦」でも堅実に党員、地方議員づくりを進めてきて今の組織がある)、運動を再点検し、「左派・リベラル」陣営の再構築を図ることが問われているのではないか。選挙結果をただ憂いていても情勢の好転はない。
上野恵司(『新社会兵庫』編集長
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第27回参議院選挙が終わり、歴史的とも言える事態が生み出された。そのひとつは、言うまでもなく与党の歴史的大敗である。石破首相自らが公言した、自公合わせて過半数という低めの「必達目標」にも達せず、衆議院につづき参議院でも少数与党に転落した。22年の前回参院選から自民党は議席数で13、比例代表の得票数で約540万票減らし、公明党も議席数で6減、同得票数では100万票近い減となった。
もうひとつの事態が、その自公政権への不満や怒りの受け皿となった国民民主党と参政党が急増・躍進したことである。国民民主党は比例代表で前回の2倍以上増の約446万票増で得票数では野党第1位に、参政党も4倍以上増の556万票増で野党第2位となり、それぞれ13議席増を果たした。両党に共通したのは、「手取りを増やす」「日本人ファースト」などのワンフレーズのキャッチコピーとSNSの駆使で、いわゆる現役世代、比較的若い層を取り込んだことだ。一方、立憲民主党は現政権批判票の受け皿とはなりえず、約63万票増やしたものの得票数では野党第3位となった。
今回の与野党の獲得議席の数からすれば、政権交代も可能な状況だが、野党がバラバラの状態でその中軸となるべき立憲も伸び悩んだ状況ではとても政権交代には踏み出せない。逆に大敗した石破首相から「続投宣言」が出る始末で、当然、自民党内からも退陣要求が噴出し、党内の混乱・混迷は収まらない。党自体がこれだけの大敗北をしても、これまで通りの派閥が暗躍するような醜悪な権力闘争を見せている状況では、現政権がいつまでもつのかは見通せず、自民党はもはや溶解していく過程にあるのではとさえ思える。一方、野党の側も不信任決議案にも手を出せず、様子見を決めこんでいる状態だ。
こうした新たな政治状況が生まれたことについて、今後の連立政権の枠組みの変化も含めた政権運営をめぐって「転換期」と評されていることが多いが、私は、それとは意味合いが違う「歴史的な岐路」として今回の選挙結果を考え、今後の私たちの運動を意識しなければならないのではないかと考える。
たしかに、たんなる与党対野党という枠の括り方ではなく、退潮した「既成政党」対急伸著しい「新興政党」という構図にも注目して投票意識を分析する意味はあろう。また、いろいろと論じられているが、極右政党と言うべき参政党がここまで躍進した背景やその支持層についてのさらなる分析も必要だ。ただ、この稿ではその課題まで触れることはできず、別の機会に譲りたい。
政治運動にかかわる立場から強調したいのは、改憲勢力と護憲勢力の力関係は今後、どうなっていくのかという視座であり、さらに言えば、いわゆる「左派・リベラル」と右派のポピュリズム的政党・勢力の対抗関係が今後どうなっていくのかという視座である。
重視すべきは、今回の参院選で敗北・後退したのは自公与党だけではないということだ。いわゆる「左派」の共産党も比例代表で約75万票を減らし、4議席を失っている。
同じく「左派」の社民党も、薄氷を踏む思いで辛うじて政党要件は維持しえたが(ちなみに言うなら、その意味でも私たちが兵庫選挙区で社民党の選挙をたたかい、比例代表の票を約1万5千票押し上げたことに貢献できた意義は、ささやかなものであれ再確認しておきたい)、前回よりも得票数は減っている。
れいわ新選組と立憲民主党を加えてこの4党を「立憲野党」、あるいは「護憲勢力」として括ったとしても、一方の改憲勢力をみると、日本維新の会が2、国民民主党、参政党がそれぞれ13、保守党が2増えたことで相対的な勢力比はさらに落ち込んだ。しかも、自民党の「右側」には、参政党の急増にとどまらず、保守党も新たに登場してきた。
こうしてみると国会内の構図は明らかに「右」にシフトしたと言える。しかし、この構図が国民の意識そのものの右傾化の反映と断じていいのかは疑問に思う。今回、改憲問題や憲法の価値観そのものが争点として戦われたわけではなく、それとは違う次元や範疇での判断、つまり物価高や生活苦、将来不安などの不満・不安の噴出が今回の結果を生み出したことのほうが大きいとみるべきだろう。
だが、力関係は厳しく、歴然としている。「左派・リベラル」が、組織づくり、とりわけ若い層の取り込みに立ち遅れ、組織的にも衰退し、いまを招いている。私たちは、その地点から、いま一度、あらためて組織づくりを含めて(ちなみに、参政党はSNSだけでなく、「地上戦」でも堅実に党員、地方議員づくりを進めてきて今の組織がある)、運動を再点検し、「左派・リベラル」陣営の再構築を図ることが問われているのではないか。選挙結果をただ憂いていても情勢の好転はない。