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育休が取得できない公務職場の非正規職

2025/07/09
 公務職場で、臨時的任用職員で働く女性から相談があった。妊娠を理由とした雇止めである。
 女性は昨年10月から働き、今年4月に契約を更新した。以前にもこの職場で5年間働いた経験がある。4月中旬に妊娠していることがわかった。産休と育休が取得できるかを総務部に確認したところ、「産休と育休は取得可能」と言われた。その後、二転三転して「契約期間は9月30日までだが、前日の29日で終了」と言われた。マタハラである。最終は、「9月30日の1日だけ産休取得」ということだった。女性は納得できないと言い、産休と育休の取得を求めている。
 有期労働契約で働く人が育児休業まで取得するのはハードルが高い。育児休業は、育休終了まで雇用契約が継続されていなければ取得できない。だから、有期労働契約で働く人は育児休業が取得できないが、男女雇用機会均等法では「妊娠中の女性労働者及び出産後1年を経過しない女性労働者に対してなされた解雇は、無効とする」と定めている。この定めがあっても、出産ではない別の理由で雇止めされ、育児休業を取得できないケースはある。
 公務職場は男女雇用機会均等法が適用外になるため、頼れる法律がない。相談女性の職場のルールを読むと、臨時的任用職員は産休は取得可能だが、育児休業は取得できないことになっている。産休と育休が取得できるかどうかは、働く人にとっては死活問題になる。相談女性は「産休も育休も取得できないと言われたとき、『堕ろせ』と言われたと思った」と言った。
 産休と育休が取得できなければ、収入がなくなり、生活できないから子どもは産めない。子どもを育てるためには仕事をしなければならないが、小さな子どもがいると就職のハードルは上がる。
 正規職と非正規職が差別的に取り扱われていいはずがない。子どもを産むことに、正規職も非正規職もない。子どもが生まれながらに差別されてはならない。国は少子化なので子どもを産むこと、子育てしやすい社会にと宣伝しているが、おひざ元の公務職場で育児休業を取得できないことは改善すべきだ。制度の確立が求められている。
木村文貴子(神戸ワーカーズユニオン書記長)