新社会兵庫ナウ

おんなの目(2025年7月9日号) 
トランス脂肪酸にご注意

2025/07/09
 2009年9月、鳩山内閣が誕生した時、当時すでに社民党党首だった福島瑞穂さんは内閣特命担当大臣となり、消費者および食品安全・少子化対策・男女共同参画を閣僚として担当することになった。そして、欧米では食品に使用することが禁止されていたトランス脂肪酸について、その含有量の表示を義務化するということが発表され、福島大臣の記者会見がTVでも放映された。「これでようやく日本でも近い将来、トランス脂肪酸の使用は禁止されるだろう」と期待しながらその画面を眺めたことを私は覚えている。
 しかし間もなく政権が変わり、福島さんは大臣ではなくなった。そしてトランス脂肪酸の表示義務どころか、その後ますます様々なパンや菓子などに使われ続け、これまではバターを使っていた物でもマーガリンやショートニング、ファットスプレッド、加工油脂または油脂加工品との名称でトランス脂肪酸類は使われるようになっている。神戸の老舗のパンや洋菓子、和菓子店の品にも結構使われており、デパ地下のパンやお菓子でも使ってない店はわずかだ。老眼の方も虫眼鏡で原材料をチェックしてから購入されることをお勧めする。
 私は元看護師として働いていたので、専門職としてのプライドもあり、生活習慣病(糖尿病、高血圧など)にはなりたくないとずっと思っていた。なので食事には比較的若い頃から注意し、肉よりは魚、甘い物・油物・塩はひかえ、野菜は多めに…という健康的な食事をしていたつもりだった。
 ところが、60歳になる手前頃だったか、寝転がってTVを見たりしている安静時に不整脈を自覚することがだんだん多くなっていった。血液検査でも、多かった善玉コレステロールが減少し、少なかった悪玉コレステロールが増加してきた。
 食生活を改めて見直したら、パン好きの母との2人暮らしで1日2食がパンになることもよくあり、念のため毎日食べている食パンの店に原材料を確認に行くと、バターは使わずマーガリンを使っているとの返事。それ以来、遠い店までバターで焼いている食パンか、油脂は使っていないパンを買うことにした。その後、遠い店に行くのが面倒なのでパン焼き機を買って自分で焼くようになり、以来、それは現在まで続いている。不整脈も全く出なくなった。
 この私の例を見るまでもなく、トランス脂肪酸は善玉コレステロールを悪玉に変え、動脈硬化、高血圧ひいては脳梗塞に脳出血、心筋梗塞などの疾病を引き起こすことは科学的に明らかとなっている。だから欧米では使用禁止となっているのに日本政府は「日本人の食事は欧米ほどパン食も油脂類も多く摂らないから禁止するほどではない」として放置したままだ。しかしそうか?日本人の食事はどんどん欧米化してきているのでは?私の邪推かもしれないが、製菓会社などからかなりのお金が政治家に渡っているのではないだろうか?
 近年ようやく『週刊ポスト』がトランス脂肪酸のことを結構大きく記事にした。また、コンビニや大手スーパー( イオン)で〝トランス脂肪酸不使用.と表示した食パンが販売されるようになったのは喜ばしい限りだ。
 福島大臣が復活すればトランス脂肪酸使用禁止が実現するのではと、期待している。
(あけびの会・藤田ふみ子)