改憲の動きをウオッチング

2020年2月11日号

2020/02/11
■安倍首相、9条への自衛隊明記は「安全保障・防衛の根幹」
 安倍首相は、年頭から改憲発言を繰り返してきた。1月6日の年頭記者会見では「参議院選挙や、世論調査を見ても、国民の声は、憲法改正の議論を前に進めよ、ということだ」と述べ、「憲法改正を私自身の手で成し遂げていくという考えには全く揺らぎはない」と強調(官邸HP)。1月12日のNHKの日曜討論でも同趣旨の発言を繰り返し、20日の施政方針演説では「未来に向かってどのような国を目指すのか。その案を示すのは私たち国会議員の責任ではないか」と訴え、具体的な改憲案を提示するよう与野党に呼びかけた(時事)。
 9条への自衛隊明記について首相は、1月27日の衆院予算委員会で、元防衛相の自民党議員への答弁で「自衛隊をしっかりと憲法に明記し、その正当性を確定することこそ安全保障、防衛の根幹だ」と述べ、自衛隊が「国民のために命を賭して任務を遂行」しているとし、「政治の場において、彼らの正当性を明らかにしていく責任が政治家にある」(毎日)と強調した。
 安全保障のために自衛隊を明記するというのは、口実に過ぎない。言うまでもないことであるが、集団的自衛権を認め、戦争法を制定してもなお、9条が歯止めとなって自衛隊が大手を振って海外で戦争することは制約される。9条に自衛隊を明記することによって、戦力不保持・交戦権否認の大原則を空文化してしまおうというのが安倍首相の狙いである。
 今年は憲法施行から73年。この間、日本は9条の縛りによって一度も戦争を起こしていない。戦争では、ひとりも外国人を殺していない。
 昨年の参議院選挙の結果や世論調査で明らかなように、多くの国民は改憲を望んでいない。国民の意思に逆らう安倍改憲に全力で立ち向かおう。
■日米安保改定60年 戦争法成立で地球規模の日米軍事同盟に変質
1960年1月19日に現行の日米安全保障条約が署名されてから60年になった。安倍首相は記念式典で「60年、100年先まで世界を支える柱として同盟を強くしていこう」(東京)と訴えた。
 現行日米安保条約によって、米軍は日本の基地から日本側との事前協議なしにどこにでも出撃できることを可能にした。実際、米軍によるベトナムやアフガニスタン、イラクへの侵略戦争など、在日米軍基地が出撃拠点になった。
 安倍政権は、集団的自衛権の行使を認めた戦争法の成立を強行した(2015年9月)。これによって現行安保条約は、地球規模の日米軍事同盟に大変質した。
 在日米軍専用施設面積の7割が集中する沖縄。「米軍による事件・事故、騒音や土壌汚染といった環境破壊などの過重な負担は『安保のトゲ』として県民に突き刺さり続けている」(琉球新報)。
 また、安倍政権は民意を踏みにじり、辺野古新基地建設を強行している。安倍政治を許してはならない。
(中)