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パワハラが最多の労働相談

2025/06/11
 全国の監督署などに寄せられた2023年度の総合労働相談件数は、4年連続で120万件を超え、高止まりしている。とりわけ「いじめ・嫌がらせ」の相談件数は6万件を超え、12年連続で最多を占める。
 ユニオンに寄せられる労働相談でもパワハラ関連が多い。昨今、人手不足が叫ばれながらも、職場からの排除を目的としたパワハラが蔓延するのはなぜだろう。
 いじめなどのターゲットとなる人の多くは、おとなしい、口数が少ない、比較的仕事がゆっくりしている、ミスが多いなどの共通する点があるように思う。ひと昔前であれば、どこの職場にも1人や2人はいた。そして、「しゃあないなぁ」と言ってみんなでフォローしていた。いま、そんな労働者が許せない時代になっているのだ。最大の原因は、ひとりひとりの仕事量と責任の増大だ。さらに、待遇に対する不満もくすぶる。
 非正規労働者が雇用労働者の4割を占め、新入社員に仕事を教える非正規労働者もいる。今年の新卒者は初任給30万超えが普通になった。仕事を知らない新入社員に、最賃で働く非正規労働者がどんな気持ちで仕事を教えるか、少し考えただけでもわかることだ。しかし、そんなことは問題だと正社員の労働組合は、考えない。その結果、せっかく正社員として就職したのにすぐに退職してしまう社員も出ている。
 先日、春闘交渉を前に会社が事務所にきた。賃上げに評価制度を導入したいと言う。年間20日も欠勤する労働者がいるという。それがユニオンの組合員であった。過去に、処分されそうになった組合員をユニオンが「かばった」ことから、会社が組合員に対して厳しく言えなくなったと言う。どの程度の問題であったかは今となればわからないが、おそらく最も弱い労働者が働き続けられる職場をとの思いで言ったのであろう。それを組合員が勘違いしてわがまま何でもOKと受け止めたのだと思う。その結果、多くの組合員が離れていった。
 職場はどうしようもないほど矛盾にあふれている。相手を思いやり、労働者が団結し、自分だけでなくみんながよくなる職場づくりを考えるようになれば、いじめや嫌がらせ、パワハラはなくなるのだ。やはり労働組合が問われている。
塚原久雄(武庫川ユニオン書記長)