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非核神戸方式50年
非核証明書なしの米艦船入港で考える
方式守るのは自治体力と市民の力
2025/05/21
米海軍の掃海艇ウォーリアの神戸港入港に抗議する市民=3月24日、神戸市灘区・摩耶埠頭
神戸港に入港する外国艦船に非核証明書の提出を求める「非核神戸方式」ができて今年で50年。この制度は、1975年3月18日に神戸市会で可決された「核兵器積載艦艇の神戸港入港拒否に関する決議」に基づくものだ。しかし折も折、その決議成立50周年の日の翌日3月19日、米艦船の神戸港入港の申請が出され、米海軍が公表した。いろいろなやりとりがあったのち、久元喜造神戸市長は3月21日、非核証明書なしの米艦船の神戸港入港を認め、3月24日、米海軍の掃海艇ウォーリアが神戸市灘区の摩耶埠頭に接岸した。この50年間で初のことだ。新社会党や憲法を生かす会などは現地で抗議行動を起こしたが、今回の事態をどう考えるのか、あわはら富夫神戸市議に報告と問題提起をしてもらった。
【編集部】
ねらいは「非核神戸方式」つぶし
今回の入港申請は、非核神戸方式50周年を意識した日本政府とアメリカ海軍の「非核神戸方式つぶし」の意図を持ったものであるのは明確だ。
「安保3文書」改定の閣議決定以降、基地の強靱化や民間港を軍事使用しようとする「特定利用港湾」指定の動きの中で、米艦船の入港を50年間くい止めている「非核神戸方式」を無力化することは、日米両政府にとって大きな課題であろう。これまでも駐日大使や総領事による〝入港実現への揺さぶり.を繰り返し、神戸市当局にだけではなく、市議会与野党会派や港湾関連の労働組合への働きかけも行い、「神戸まつり」にも米海軍が出演してきた。
自民党市議の一部は、昨年の本会議で、「非核神戸方式」がアメリカからの経済支援の障害になっていると発言するようにもなっていた。
「非核神戸方式」50周年というタイミングで米海軍はウォーリアの入港を申請し、一気に中央突破を試みたのだ。
市長、「従来の考え方を変えるつもりはない」
今年の予算市会の本会議で、私は「非核神戸方式」50周年ということで、「これまで通りこの制度を堅持すること」を質疑した。久元市長は「従来の考え方を変えるつもりはない。議会決議を尊重し、港湾管理者としての事務を粛々と果たしていく」と答弁した。
しかし今回、非核証明書なしでの入港を認め、バースを指定してしまったことは、明らかな後退であり、答弁と矛盾している。
「『非核』の確認を得た」……
3月24 日の入港当日の経済港湾委員会で、私の「なぜ非核証明書なしでの入港を認めたのか」との質問に、長谷川港湾局長は2点の理由をあげ、「非核証明書に代わる非核の確認を得た」と答弁した。
その1点は、神戸市からのウォーリアの核搭載有無の照会に対し外務省北米局からは、「1991年に米国海軍の艦船から戦術核兵器を撤去する旨の発表がなされ、ウォーリアは木造の掃海艇で搭載能力がない以上、核兵器を搭載していない」旨の回答を得たことだった。
2点目は、クーバス米総領事が神戸市を訪れて長谷川港湾局長と会談を行い、「個別の艦船についてはその有無は明らかにできないが、アメリカ合衆国の基本的な方針として海軍の水上艦、潜水艦、航空機に核兵器を搭載しない」と述べ、非核証明書の提出には応じなかったが非核の確認には応じたと神戸市は受け取り、非核であることが証明されたと判断したということだった。
市会本会議で久元市長は、非核証明書なしでの入港を認めたことに対して、「核艦船入港拒否決議からは逸脱していない」と、先の2 点の担保で「核搭載がないとの確証を得た」と述べ、港湾局長も市長も「核搭載の疑いがあれば入港を拒否する」「非核証明書を求める非核神戸方式は維持する」と答弁した。
しかし、この制度は本来、日本が「非核3原則」を国是にしている中で、米海軍が核を持ち込んでいたことが明らかになったから、個別の艦船からの非核の証明を求める制度であり、核を持っていない国の艦船や軍籍のある帆船にも非核証明書を提出させてきた制度だ。この制度に特例を設けてしまったのが、今回の米艦船の入港だった。
「非核神戸方式」は終わったのか?!
一部の自民党議員は「これで『非核神戸方式』は終わった」と喧伝している。
しかし、神戸市が証明書の提出を求め、入港を許可した当日まで米総領事に非核の確認を求めるなど、「非核神戸方式」を最後まで守ろうとした姿勢は評価できるものだ。
また今回、ウォーリアが日米地位協定5条(※)を振りかざし、神戸市の港湾管理権を無視して入港したのではなく、あくまでも神戸市港湾局の指示に従って摩耶埠頭に接岸したということは、自治体の港湾管理権の強さを証明したことでもある。
ただ、今後は米艦船の入港が続くことが予想される。核搭載ができない木造掃海艇でなく、核搭載可能なイージス艦や空母が入港する場合は個々に核搭載を確認するしかなく、「核搭載が疑われれば入港を拒否する」との市長答弁は活きてくる。
私たちは、今後も「非核神戸方式は活きている」との構えを崩すことなく、自治体力と市民の力で平和で安全な神戸港を守る運動の強化が必要だ。
(神戸市議 あわはら富夫)
(※)米国の艦船や航空機が米軍が使用する施設や区域以外にも日本の港湾や空域に出入りできる権利を定める。
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神戸港に入港する外国艦船に非核証明書の提出を求める「非核神戸方式」ができて今年で50年。この制度は、1975年3月18日に神戸市会で可決された「核兵器積載艦艇の神戸港入港拒否に関する決議」に基づくものだ。しかし折も折、その決議成立50周年の日の翌日3月19日、米艦船の神戸港入港の申請が出され、米海軍が公表した。いろいろなやりとりがあったのち、久元喜造神戸市長は3月21日、非核証明書なしの米艦船の神戸港入港を認め、3月24日、米海軍の掃海艇ウォーリアが神戸市灘区の摩耶埠頭に接岸した。この50年間で初のことだ。新社会党や憲法を生かす会などは現地で抗議行動を起こしたが、今回の事態をどう考えるのか、あわはら富夫神戸市議に報告と問題提起をしてもらった。
今回の入港申請は、非核神戸方式50周年を意識した日本政府とアメリカ海軍の「非核神戸方式つぶし」の意図を持ったものであるのは明確だ。
「安保3文書」改定の閣議決定以降、基地の強靱化や民間港を軍事使用しようとする「特定利用港湾」指定の動きの中で、米艦船の入港を50年間くい止めている「非核神戸方式」を無力化することは、日米両政府にとって大きな課題であろう。これまでも駐日大使や総領事による〝入港実現への揺さぶり.を繰り返し、神戸市当局にだけではなく、市議会与野党会派や港湾関連の労働組合への働きかけも行い、「神戸まつり」にも米海軍が出演してきた。
自民党市議の一部は、昨年の本会議で、「非核神戸方式」がアメリカからの経済支援の障害になっていると発言するようにもなっていた。
「非核神戸方式」50周年というタイミングで米海軍はウォーリアの入港を申請し、一気に中央突破を試みたのだ。
市長、「従来の考え方を変えるつもりはない」
今年の予算市会の本会議で、私は「非核神戸方式」50周年ということで、「これまで通りこの制度を堅持すること」を質疑した。久元市長は「従来の考え方を変えるつもりはない。議会決議を尊重し、港湾管理者としての事務を粛々と果たしていく」と答弁した。
しかし今回、非核証明書なしでの入港を認め、バースを指定してしまったことは、明らかな後退であり、答弁と矛盾している。
「『非核』の確認を得た」……
3月24 日の入港当日の経済港湾委員会で、私の「なぜ非核証明書なしでの入港を認めたのか」との質問に、長谷川港湾局長は2点の理由をあげ、「非核証明書に代わる非核の確認を得た」と答弁した。
その1点は、神戸市からのウォーリアの核搭載有無の照会に対し外務省北米局からは、「1991年に米国海軍の艦船から戦術核兵器を撤去する旨の発表がなされ、ウォーリアは木造の掃海艇で搭載能力がない以上、核兵器を搭載していない」旨の回答を得たことだった。
2点目は、クーバス米総領事が神戸市を訪れて長谷川港湾局長と会談を行い、「個別の艦船についてはその有無は明らかにできないが、アメリカ合衆国の基本的な方針として海軍の水上艦、潜水艦、航空機に核兵器を搭載しない」と述べ、非核証明書の提出には応じなかったが非核の確認には応じたと神戸市は受け取り、非核であることが証明されたと判断したということだった。
市会本会議で久元市長は、非核証明書なしでの入港を認めたことに対して、「核艦船入港拒否決議からは逸脱していない」と、先の2 点の担保で「核搭載がないとの確証を得た」と述べ、港湾局長も市長も「核搭載の疑いがあれば入港を拒否する」「非核証明書を求める非核神戸方式は維持する」と答弁した。
しかし、この制度は本来、日本が「非核3原則」を国是にしている中で、米海軍が核を持ち込んでいたことが明らかになったから、個別の艦船からの非核の証明を求める制度であり、核を持っていない国の艦船や軍籍のある帆船にも非核証明書を提出させてきた制度だ。この制度に特例を設けてしまったのが、今回の米艦船の入港だった。
「非核神戸方式」は終わったのか?!
一部の自民党議員は「これで『非核神戸方式』は終わった」と喧伝している。
しかし、神戸市が証明書の提出を求め、入港を許可した当日まで米総領事に非核の確認を求めるなど、「非核神戸方式」を最後まで守ろうとした姿勢は評価できるものだ。
また今回、ウォーリアが日米地位協定5条(※)を振りかざし、神戸市の港湾管理権を無視して入港したのではなく、あくまでも神戸市港湾局の指示に従って摩耶埠頭に接岸したということは、自治体の港湾管理権の強さを証明したことでもある。
ただ、今後は米艦船の入港が続くことが予想される。核搭載ができない木造掃海艇でなく、核搭載可能なイージス艦や空母が入港する場合は個々に核搭載を確認するしかなく、「核搭載が疑われれば入港を拒否する」との市長答弁は活きてくる。
私たちは、今後も「非核神戸方式は活きている」との構えを崩すことなく、自治体力と市民の力で平和で安全な神戸港を守る運動の強化が必要だ。