新社会兵庫ナウ

社民党・新社会党共同アピール(要旨)
憲法記念日にあたって

2025/05/03
 戦後80年、被爆80年の憲法記念日を迎えた。
 日本国憲法は「戦争の放棄」を高らかに宣言したが、今年度の政府予算で防衛費は8兆7千億円と史上最高額を更新した。「中国の脅威」「北朝鮮の脅威」を口実とした軍事拡大は全国に広がり、住宅街にも弾薬庫が作られる事態となっている。それでもトランプ米大統領は「もっと防衛費を増額しろ」と日本政府に迫っている。
 「戦争の放棄」はただの理想論なのだろうか。
 そんなことはない。防衛省は3月末、「台湾有事」に際して沖縄・先島諸島住民ら12万人を九州各県や山口県に避難させる計画を明らかにした。それによると12万人を6日間程度で自衛隊や海上保安庁の船舶、民間のフェリー、航空機を使って避難させ、その後、貸し切りバスなどで滞在地のホテルなどに宿泊してもらうとしている。机上の空論とはこのことだ。12万人には嘉手納基地や普天間基地がある沖縄県で最も住民の多い沖縄本島の人々は含まれていない。運転手不足が叫ばれているなかで12万人もの人々を一気に輸送することなど到底不可能だ。飼育している牛や馬、そして畑はどうなるのか。
 沖縄戦で「対馬丸事件」の悲劇が起こった。対馬丸は幼い子どもたちの疎開のために長崎へ向かっていたが、米海軍の潜水艦の魚雷攻撃を受け、約1500人が死亡した。
 こうした「有事」の際の住民避難は、原発事故についても避難計画が作成されようとしているが、実行不可能な計画しか示されていない。
 沖縄県民は、地上戦で当時の県民の4分の1にあたる12万人余りが死亡した経験から「ヌチドゥタカラ(命こそ宝)」「軍隊は住民を守らない」を教訓にして戦争につながるあらゆる動きに反対し、平和を求めてきた。
 日本は島国である。海上が封鎖されれば食料、エネルギーの輸入はできなくなり、国民は餓死の恐怖に直ちに直面する。食料自給率38%の日本で唯一自給が可能といわれていたコメが品不足となり、高騰している。対話による平和外交の確立こそ戦争回避の道である。
 7月には参院選が予定されている。私たちは訴える。平和憲法の理念を空洞化し、改「正」をもねらう勢力の拡大を許さず、生活といのちが最優先される平和国家への道をめざす勢力の拡大を実現しよう。
2025年5月3日
〈呼びかけ〉  社会民主党・市民共同   
 社会民主党党首  福島 みずほ
 新社会党委員長  岡粼 ひろみ