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ひょうごミュージアム
ひょうご描き歩き161
御影公会堂(神戸市東灘区)
2025/05/21

阪神・石屋川駅から川沿いに山に向かって歩いて5分ほど、国道2号線に面して白と薄紅色が爽やかに映える御影公会堂が建っている。御影町公会堂として昭和初期の1933年、白鶴酒造の加納治兵衛氏による寄付と町費積立金などを基に造られた地上3階・地下1階の立派な建物。しかし、3度の神戸大空襲で御影の町は焦土と化し、公会堂も被災した。のち神戸市に合併して修繕・改修されて再開された。千人収容できる大ホールは当時、神戸市最大の集会施設として、また、結婚式場としても利用された。老朽化が進み改築を検討していたさなか、阪神・淡路大震災に見舞われ、周囲の建物の多くが全半壊となったが、この公会堂はほとんど被害はなく、被災者の避難場所として約1年近く活用された。建物外はほぼそのままにして8年前にリニューアルされて今在る。建設当初からあった地下の食堂は今も人気で、とりわけオムライスが美味とか。市民の憩いの場として利用され、ホールや階段は歴史を感じさせる。館内に御影郷土資料室があり、御影出身で柔道の祖と言われて有名な嘉納治五郎氏の記念コーナーもある。横を流れる石屋川の向こうに六甲連山が望める。川沿いの公園に野坂昭如の「火垂るの墓」の碑や近くのアパートで震災死した夫婦の「生きた証」の碑も立つ。
(嶋谷)