新社会兵庫ナウ

地域ユニオンあちこちあれこれ(2020年7月28日号)

2020/07/28
持続化給付金業務で人の使い捨て
 新型コロナウイルス感染拡大の影響で収入が減った中小企業、個人事業主らに国が支給する持続化給付金。その事務事業の委託をめぐり、電通の子会社ぐるみ委託費100億円以上の中抜き問題が指摘されている。
 事業はすでに各都道府県で受付が始まっているが、実務を担っているはパソナの派遣労働者である。先日、その派遣労働者からユニオンに相談が寄せられた。
 派遣労働者は、事業主から提出された書類の不備や不足資料などがないかをチェックし、事業主に書類の手直しや資料追加の連絡をする。そうして整った書類を県の職員が審査し、持続化給付金の支給可否を決定するというシステムだ。
 そもそも、コロナで売り上げがなくなっている事業主は、当然給付されるものと思って申請している。資料の手直しや不足資料を求められればなおさらのことだ。ところが、審査で給付不可となった事業主に対して、派遣労働者が事業主に「支払われません」との電話を入れさせられるのである。派遣労働者は、結果だけしか知らされず、なぜ不可になったのかはわからない。後日、県からも事業主に対して不可の通知が送られるのに、なぜ電話が必要なのか。当然、電話を受けた事業主は激怒し、電話のやりとりが長くなるが、誰も助けてくれない。事業主が疲れるまで、ひたすら耐え続けるしかない。派遣元にこの通知の電話の必要性について問うても、業務として「電話対応」も書いていると説明するだけで、話にならない。
 6月からパワハラ防止法が施行されたが、「この業務は本当に必要なのか?」「業務が原因で心を病んだらだれが責任を取るのか」など、派遣先も派遣元も責任が問われるべきだ。わずか1ヶ月で35人がこの職場を去ったという。
 コロナの影響で仕事を失った人も多いが、代わりはいくらでもいると考えているのだろうか。労働者の使い捨ては、社会を崩壊させる。
 塚原久雄(武庫川ユニオン書記長)