新社会兵庫ナウ

水脈(2025年4月9日号)

2025/04/09
 「人の意見を聞かない人」と評判の人物は、私たちの周りにもそれなりにいる。「他人に意見を求めない」という場合もあれば、「他人の意見を聞き入れない」という意味での「聞かない」もある。だがそれはある意味、一つの個性であって、ときに「頑固者」と呼ばれたり、悪くすると「頑迷な奴」とか言われるが、ふつうの日常生活においてはさほど特別なものではない▼だが、これが行政組織の長である場合には、問題は大きい。組織の長としての資質が問われる。われらが斎藤知事の、百条委員会と知事自らが設置した第三者委員会の調査報告に対する態度は、「頑迷」とかの枠では納まらない、とんでもないものだ。両者から指摘された、告発者探しや懲戒処分についての自らの非、誤りや違法性は絶対に認めないという態度に終始し、「適正に対応した」の主張を貫く▼「一つの見解、見方」などとして両委員会の調査結果を受け入れないのは、これらの委員会の制度の意義そのものさえ否定することだ▼そこまで頑なのは、もし非を認めれば、自分の存在位置も〝成功.人生もすべて瓦解してしまうというような恐怖心があの鉄仮面の表情の裏にあるからなのか。そんなふうにも見えてしまう。