改憲の動きをウオッチング

(2025年4月9日号)

2025/04/09
■自衛隊「統合作戦司令部」発足 その狙いはなにか
  「米軍との間で部隊運用の調整を担い、他国領域のミサイル基地などを破壊する敵基地攻撃能力運用の司令塔にもなる。日米の軍事的な一体化がさらに強まって米軍の影響力が高まり、自衛隊の指揮権の独立性が損なわれるとの懸念もある」(東京新聞)
  陸海空自衛隊をまとめて指揮する統合作戦司令部が3月24日、東京・市谷の防衛省で発足した。
 統合作戦司令部は、2022年に岸田内閣が決定した安保関連3文書に創設を明記している。その後、24年7月の日米安全保障協議委員会(2プラス2)で、日米軍事一体化の加速が確認された。
 大きな焦点であった日米の指揮統制関係について共同文書は、「在日米軍をインド太平洋軍司令部管轄下の『統合軍司令部』として再構成する」「再構成された在日米軍は自衛隊に創設する『統合作戦司令部』の一つの重要なカウンターパートになる」と明記されている。
 自衛隊の統合作戦司令部の発足にあわせて、アメリカは今後、在日米軍を再構成し、これまで持っていなかった作戦指揮権を行使できる「統合軍司令部」を設けることになる。
 「統合軍司令部」は、自衛隊の統合作戦司令部のカウンターパートとなる。在日米軍―統合軍司令部は圧倒的な軍事力と情報収集能力を持つ。自衛隊が米軍の判断に引きずられ、日本の指揮権の独立性が損なわれる危険がある。米国の戦争に巻き込まれる重大な危険もある。さらに、日米の軍事一体化によって自衛隊が米軍の指揮下に組み込まれる恐れもある。
 冒頭に引用した東京新聞の指摘は統合作戦司令部の発足の本質を突いている。
 国防省内で在日米軍の強化の中止も検討されている報道について、中谷元防衛相は「日米の方針に変更はない」と述べている。
 日米軍事一体化、大軍拡反対の世論をいっそう高めていかねばならない。
■非核神戸方式から50年米軍艦神戸港入港初 非核証明書提出せず
 
米軍艦が3月24日、50年ぶりに神戸港に入港した(26日出港)。
 ちょうど50年前の3月18日、神戸市会は核兵器を積んでいないことを示す証明書の提出を求める決議を全会一致で採択した。その1年半前、神戸市長選挙で全野党共闘の候補が自民党候補に勝利していた。この勝利がなければ非核神戸方式は生まれなかったと言っても過言ではないだろう。
 新社会党兵庫県本部や憲法を生かす会・ひょうごネットは、久元神戸市長に、「非核証明書の提出を求めるとともに、提出されないときは、神戸港入港を拒否する」ことを19日、申し入れた。
 久元市長は、外務省に照会したところ「核兵器を搭載していないことについて、疑いを有していない」とする回答があったとして、米軍艦の入港を許可した。米国は核兵器積載の有無を明らかにしない原則であり、外務省の回答は非核証明書に代わるものではない。
 新社会党や市民団体などは非核証明書のない入港許可に断固抗議し、入港時には米艦艇が接岸する摩耶埠頭(灘区)で抗議行動を行った。
 米軍艦の入港によって、非核神戸方式が反古にされるようなことが絶対にあってはならない。もし、非核神戸方式が反故にされ、米軍艦が繰り返し入港することになれば、国是の核兵器を「持たず、造らず、持ち込ませず」の非核三原則が形骸化し、神戸港が軍事利用される危険がある。「戦争する国づくり」が急ピッチで進む今、非核神戸方式を勝ち取った市民の力で、なんとしても守り抜かねばならない。
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