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私の主張(2025年3月26日号)
労働組合の奮起に期待する
平和と生活の向上をめざそう
2025/03/26
新社会党市民運動委員長で夏の参議院の社民党比例代表予定候補である「かい正康」さんが、神戸市の北須磨団地の加納さん宅に来られたので、有志が激励に駆けつけた。彼の名刺には、「生きづらい社会を変えよう」とあった。
その通りだが、今生きづらいのは日本だけではない。トランプ大統領の無茶な高関税と法外な外交政策で、世界中がインフレや弱肉強食の領土危機にさらされている。これに中国が加わり、台湾や日本の尖閣諸島や南シナ海が重圧を受けている。トランプ氏は突拍子もない大統領とみられがちだが、アメリカの哲学はプラグマチズム(実用主義)が主流で、トランプが多用するディール(取引)はルーズベルト大統領のニューディールと同じ意味であり、ナショナリズムの性格を強くもっている。
したがってトランプ大統領の言うアメリカファーストやウクライナ戦争停戦のディールは、彼の思いつきでない。アメリカの伝統に深く根差しており、一時的なものでないからこれを覆すのは容易でない。しかしそれを覆さなければ、ガザも含めて世界に恒久平和は来ない。また、それは平和だけでなく、高関税によるインフレが遠慮なく世界を覆うので、日本だけの一国平和や経済の安定的成長はない。とくに日本は食料自給率が38%と悪く、多くの資源を円安で輸入している。そのために日本は、世界的インフレの影響を受けやすい。そこで日本は、世界の平和と経済の安定を配慮しながら、自国の政策を創る必要がある。
以上を前提にして我が国の労働組合運動をみると、今のままでは形は残っても労働組合の本質から外れる。労働組合は賃金労働者の組織だから、賃金を上げて生活を改善することを目的にしている。だが、今の日本の平均賃金はG7のなかでイタリアと並んで最低である。しかし、国内の24年賃金闘争は失われ30年で最高だ、と喜ぶ労組幹部もいた。だが、24年度の実質賃金は、マイナスが3年連続して24年もマイナス0・2%だった。日本は低賃金とゼロ金利と低い国内投資で、国際競争力をカバーし、円ドルは2011年10月が75円台と今の半分ほどの円高で、安い輸入資源と国内では物価も安かった。
ところが人手不足と人材確保のため、24年は20歳代の大卒所定内給与は10%増えた。だが、40歳代は3.5%程度増だから、中高年層の生活を無視した企業の自衛賃上げである。これでは労組の存在価値が問われる。
しかもトランプ大統領の高関税政策は、世界的インフレと不況をもたらす。いわゆるスタグフレーションだが、日本の財政赤字は1200兆円で、金利を1%上げると3年後の利払いが3・7兆円増える。政府は利払いで予算が組めなくなり、企業は利益が吹き飛ぶので、インフレ対策で金利を上げられない。アメリカが不況で金利を下げても、日本は金利をあまり上げられないので、円安とインフレは解消しないのが、今の厳しい現実だ。
その結果として財政赤字が累増し、賃上げができない。しかも税制を改正して「103万円の壁」を破って手取りを増やすという。税制改正の要求はよいが、非正規のことは、まず同一労働同一賃金が優先事項で、この税制改正案は低給者が少額で、高給者が高額である。しかも防衛庁の増額がトップである25年度予算を丸呑みして、予算の分捕り合戦をするのはよくない。さらに、埼玉県八潮市のような道路陥没事故は全国的に起きる可能性があり、財政需要はさらに高まる。つまり、今の若者も間もなく直面する問題であるから、ジュニア対シニアの対立ではなく野党が優先順位を話し合って決めてもらいたい。
最後になるが、「103万円の壁」対策は高収入層優遇で、中間層以下はインフレ下では救われない。しかも賃金労働者の労働組合が、賃上げの不足を税制改革で取りもどすというのは、労働組合の本質と大義に反する。
そこで、オイルショックによる大不況と物価高騰(スタグフレーション)の下で532万人がストに参加し、2万8981円を獲得した74春闘の歴史に学んでもらいたい。一方で、欧米労働組合のストライキ損失日数を比較すると、米国の労働損失日数が21年で約150万日、英・独が約20万日だが、日本は1388日であった。闘えば日本の労働組合も獲れるが、闘わなければ獲れない。それが春闘の教訓である。
柳田勘次(憲法を生かす須磨区の会世話人)
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その通りだが、今生きづらいのは日本だけではない。トランプ大統領の無茶な高関税と法外な外交政策で、世界中がインフレや弱肉強食の領土危機にさらされている。これに中国が加わり、台湾や日本の尖閣諸島や南シナ海が重圧を受けている。トランプ氏は突拍子もない大統領とみられがちだが、アメリカの哲学はプラグマチズム(実用主義)が主流で、トランプが多用するディール(取引)はルーズベルト大統領のニューディールと同じ意味であり、ナショナリズムの性格を強くもっている。
したがってトランプ大統領の言うアメリカファーストやウクライナ戦争停戦のディールは、彼の思いつきでない。アメリカの伝統に深く根差しており、一時的なものでないからこれを覆すのは容易でない。しかしそれを覆さなければ、ガザも含めて世界に恒久平和は来ない。また、それは平和だけでなく、高関税によるインフレが遠慮なく世界を覆うので、日本だけの一国平和や経済の安定的成長はない。とくに日本は食料自給率が38%と悪く、多くの資源を円安で輸入している。そのために日本は、世界的インフレの影響を受けやすい。そこで日本は、世界の平和と経済の安定を配慮しながら、自国の政策を創る必要がある。
以上を前提にして我が国の労働組合運動をみると、今のままでは形は残っても労働組合の本質から外れる。労働組合は賃金労働者の組織だから、賃金を上げて生活を改善することを目的にしている。だが、今の日本の平均賃金はG7のなかでイタリアと並んで最低である。しかし、国内の24年賃金闘争は失われ30年で最高だ、と喜ぶ労組幹部もいた。だが、24年度の実質賃金は、マイナスが3年連続して24年もマイナス0・2%だった。日本は低賃金とゼロ金利と低い国内投資で、国際競争力をカバーし、円ドルは2011年10月が75円台と今の半分ほどの円高で、安い輸入資源と国内では物価も安かった。
ところが人手不足と人材確保のため、24年は20歳代の大卒所定内給与は10%増えた。だが、40歳代は3.5%程度増だから、中高年層の生活を無視した企業の自衛賃上げである。これでは労組の存在価値が問われる。
しかもトランプ大統領の高関税政策は、世界的インフレと不況をもたらす。いわゆるスタグフレーションだが、日本の財政赤字は1200兆円で、金利を1%上げると3年後の利払いが3・7兆円増える。政府は利払いで予算が組めなくなり、企業は利益が吹き飛ぶので、インフレ対策で金利を上げられない。アメリカが不況で金利を下げても、日本は金利をあまり上げられないので、円安とインフレは解消しないのが、今の厳しい現実だ。
その結果として財政赤字が累増し、賃上げができない。しかも税制を改正して「103万円の壁」を破って手取りを増やすという。税制改正の要求はよいが、非正規のことは、まず同一労働同一賃金が優先事項で、この税制改正案は低給者が少額で、高給者が高額である。しかも防衛庁の増額がトップである25年度予算を丸呑みして、予算の分捕り合戦をするのはよくない。さらに、埼玉県八潮市のような道路陥没事故は全国的に起きる可能性があり、財政需要はさらに高まる。つまり、今の若者も間もなく直面する問題であるから、ジュニア対シニアの対立ではなく野党が優先順位を話し合って決めてもらいたい。
最後になるが、「103万円の壁」対策は高収入層優遇で、中間層以下はインフレ下では救われない。しかも賃金労働者の労働組合が、賃上げの不足を税制改革で取りもどすというのは、労働組合の本質と大義に反する。
そこで、オイルショックによる大不況と物価高騰(スタグフレーション)の下で532万人がストに参加し、2万8981円を獲得した74春闘の歴史に学んでもらいたい。一方で、欧米労働組合のストライキ損失日数を比較すると、米国の労働損失日数が21年で約150万日、英・独が約20万日だが、日本は1388日であった。闘えば日本の労働組合も獲れるが、闘わなければ獲れない。それが春闘の教訓である。