新社会兵庫ナウ

水脈(2025年3月12日号)

2025/03/12
 先日過ぎ去った2月26日。かつて日本を震わせた2・26事件から89年目の日であった。ところが、ほとんどの新聞は、特集はおろか、わずかの記事にすることもなかった。わが家に届けられた新聞も、書籍の広告欄に1冊の関連本を見出したのみであった▼思いをつなぐものといえば、大雪に関する情報のみであった。隣の韓国では、大統領自身が惹き起こしたクーデターの弾劾裁判が進められているというのに▼2・26事件。青年将校に率いられた2千人足らずの未明の反乱は、戒厳令が布告される下で、29日(その年は閏年)まで続いた。失敗に帰したとはいえ、この反乱が日本の歴史を戦争とファシズムへと転がり落とすきっかけになったことに異を唱える人はいない▼反乱部隊が進発した歩兵一連隊、三連隊の跡地が、今では六本木・麻布界隈となって賑わっているとはいえ、2・26事件を忘れ、歴史を遠ざけていいものだろうか▼トランプの暴言の頻発といい、日本の政治のぬかるみといい、世の中は決して平穏ではない。様々な雑音をまるで快美な音楽を聴くかのような素振りをするのは止めよう。歴史のバイオリンを奏でながら叫ぼう。抑止力よりも平和を!人間はより人間らしく!