改憲の動きをウオッチング

(2025年3月12日号)

2025/03/12
改憲への執念 自衛隊明記・緊急事態条項優先
 自民党は2月20日、憲法改正実現本部を開いた。会議には石破首相も就任後初めて出席。
 石破氏は、昨年9月にまとめた論点整理(自衛隊の明記・緊急事態条項新設などの条文案)を改憲の優先事項として取り組む考えを表明した。
 論点整理は、9条全体を維持し、自衛隊の明記を追加するとしている。また、石破氏は衆参両院の憲法審査会で「議論をさらに進めなければならない」と強調し、「言いっ放し、聞きっ放しではどうにもならない」(東京新聞)と発議に向けて議論のあり方について注文をつけた。改憲へのすさまじいまでの執念である。
 衆院の政治状況についてはご案内の通りである。憲法審の会長ポストは立憲が握り、立憲は欠陥法と言われている国民投票法の改定が最優先課題と主張している。
原発回帰・新建設 改定エルギー基本計画
 政府は2月18日の閣議で第7次エネルギー基本計画を決定した。
 基本計画は原発を「最大限活用する」と明記し、東京電力福島第一原発事故以降掲げてきた「可能な限り原発依存度を低減する」の文言を削除した。さらに、原発の新建設については、廃炉を決めた敷地内に限定していた条件を緩め、同じ電力会社なら敷地外でも可能にする方針に変えた。大手電力会社の方針に沿って原発回帰を鮮明に打ち出したものである。
 「40年度の再エネ比率は、23年度実績の22・9%から2倍前後を目指すことになる。原発は、建設中を含む36基のほぼすべての稼働を前提に、2割程度とした。過去の計画に記載してきた『可能な限り依存度を低減する』との文言を消し、再稼働と建て替えの推進を打ち出した。火力発電は現状の約7割から3.4割程度に縮小する」(時事)。
またまた不参加 核禁条約締約国会議 「核の傘」から脱却すべし
 「本当に情けなく残念だ」「地球上から(核兵器)をなくすことを一番強く主張できるのが日本政府だ」(時事)。
 書き出しは、ノーベル平和賞を受賞した日本被団協の田中熙巳代表委員の衆院予算委員会(2月25日)における意見陳述である。田中氏の、政府が核禁条約第3回締約国会議へのオブザーバー参加を拒んだことに対する怒りの訴えである。
 被爆80年―核兵器を二度と「使わない」「使わせない」との決意を新たにする年だ(琉球新報社説)。
 核禁条約の署名国は94カ国、国連加盟国の半数に迫り、締約国は73カ国である。
 なぜ日本は核禁条約に署名もせず、締約国会議へのオブザーバー参加さえ拒むのか。日本の安全保障を米国の「核の傘」に頼り、縛られているからだ。アメリカの「核の傘」に頼るドイツなど多くの国がオブザーバーとして参加しているのに。
 被団協の田中氏が主張されるように「一番強く主張できるのが日本政府だ」。そのためにも「核の傘」から脱却しなければならない。
(中)