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災害時の石綿対策を考える
神戸でシンポジウム開く 1.12

2025/01/12
約150人が参加し8人の研究者らからの報告を聴いた=1月12日、神戸市中央区

 阪神・淡路大震災から30年にあたり、「災害とアスベストを考えるシンポジウム」が1月12日、神戸市内で開かれ、アスベスト問題に関心を持つ約150人が参加した。
 主催したのは、NPO法人ひょうご労働安全衛生センターなどこれまで災害アスベスト問題に取り組んできた団体や研究者、弁護士らが一昨年12月に発足を発表し、昨年1月から活動を開始してきた「災害とアスベスト―阪神淡路30年プロジェクト」。この1年間、①阪神・淡路大震災時におけるアスベスト飛散の再検証、②ボランティアの活動実態とアスベストに対する意識調査、③ 復旧・復興作業に従事した人々の労働実態、④今後の地震や自然災害時のアスベスト対策などを課題にして調査・研究を行ってきており、それらを記録に残す作業にも取り組んできた。
 阪神・淡路大震災の二次被害であるアスベストによる健康被害をめぐっては、2008年3月に建造物の解体作業に2か月かかわった男性が労災認定を受けたことに始まり、これまでに8人が労災・公務災害の認定を受けている。
 中皮腫の潜伏期間は20.50年とされているため、震災アスベスト問題は、いま重要な時期を迎えている。
 震災の犠牲者を追悼する黙とうから始まったシンポジウムは、「検証―阪神・淡路大震災とアスベスト」と題した第1部と、「語り継ぐ震災とアスベスト」とした第2部で構成され、医師や研究者をはじめ、自身がアスベスト被曝で悪性胸膜中皮腫を発症した労働者や調査活動に取り組んだ学生らが次々と発言に立ち、この間の調査・検証結果を発表した。
 多くの災害現場でアスベストに対する注意喚起や防じんマスクの支給などの対策が不十分であったこと、そして今もなお、不十分であることがこの間の調査からも改めて浮かび上がっている。