ひょうごミュージアム

ひょうご碑物語84
朝鮮人労働者の碑(神戸市兵庫区会下山町)

2025/01/22
神戸電鉄の敷設工事に駆り出され犠牲になった朝鮮人労働者の追悼と日朝の友好・親善のために設置された、金城実氏作の像

 日本の朝鮮植民地支配の時代、日本の道路や鉄道、港湾、河川などの産業基盤整備に大量の朝鮮人労働者が投入された。神戸電鉄の敷設工事もその1つで千数百人が動員されたという。危険で過酷な重労働を強いられるなか、1927年からの10年間で5つの現場で13人が犠牲になっている。
 金城実さん制作のこの像は、犠牲者の追悼と日朝の友好と親善のために1996年11月に設置されたもので、神戸電鉄敷設工事朝鮮人犠牲者を調査し追悼する会(当時の代表は落合重信さん=神戸史学会代表)によって建立された。
 神戸電鉄は、神戸市中心部と北西部を結ぶ主要な交通手段になっているが、たいへんな犠牲があったことを忘れてはならない。山間部の鉄道工事は極めて危険で重労働を伴う。その上に賃金の未払や天引きなどの不当行為が頻発し、労働争議も繰り返し発生したという。
 この工事の最大の事故は、1936年1月26日の藍那トンネルの崩落事故で、24歳から47歳の朝鮮人労働者6人が犠牲になった。
(鍋島)
【メモ】神戸電鉄・湊川駅から徒歩10分。神鉄東山トンネルを抜けた先の会下山公園の北側斜面にある。