改憲の動きをウオッチング

(2025年1月22日号)

2025/01/22
■枝野会長の下で初の討議 立場の違い改めて鮮明に 衆院憲法審査会
 衆院憲法審査会は12月19日、立憲民主党の枝野幸男会長の下で初の本格的な討議を行った。
 審査会の冒頭に、法制局から2000年に憲法調査会が設置され、中山太郎会長のもとで、政局から一定距離を置いて運営する、少数会派の発言権を保障するなど、いわゆる「中山方式」といわれる原則が打ち立てられたなど、四半世紀にわたる憲法論議の経緯が報告された。
 討議では、自民党は改憲の優先テーマとして緊急事態時の政府の権限を定める「緊急事態条項」に関連して国会議員任期延長を主張。公明党、維新の会、国民民主、有志の会が同調した。
 立憲民主党は、緊急事態条項よりも、2021年に成立した国民投票法の付則に明記されたテレビCMやインターネット広告を規制するための国民投票法の改正が最優先課題だと反論。そうでなければ公正な国民投票は不可能だと主張した。共産党は国民の多数が改憲を求めていない。憲法を変える議論ではなく、憲法に反した現実を変える議論をすべきだと主張した。
 与野党の立場の違いが改めて浮き彫りとなった。枝野会長は、会合のあと記者団に「議論の進め方について党派間で大きな違いがある。今後その中の最大公約数をしっかりと探っていく」と述べた。
■軍事費、過去最大8兆7005億円 戦争準備を止めねばならない 予算案
 政府は年末の27日、2025年度予算案を閣議決定した。一般会計の歳出(支出)総額は115兆5415億円と当初予算ベースで過去最大を更新。不足を補うため新たに28兆6490億円の国債を発行し、借金に依存する財政運営が続く(東京新聞)。
 与党は衆院で過半数割れしており、野党の協力がなければ予算は成立しない。国民民主の「年収103万円の壁」引き上げや維新の教育無償化の政策協議を本格化し、懐柔を強めている。
 石破首相は予算案決定早々から、予算案否決あるいは不信任可決なら「解散あり得る」と国民民主・維新をけん制している。
 政府は22年に策定した国家安全保障戦略で敵基地攻撃能力の保有を明記しており、大軍拡に向かって23年〜27年度の予算額を43兆円と定めている。25年度は3年目に当たる。
 艦艇発射型の「12式地対艦誘導弾能力向上」型の取得/潜水艦に搭載可能な垂直誘導弾発射システム研究費/英国、イタリアと共同で進める次期戦闘機の開発費/米国から購入する長距離巡航ミサイル(トマホーク)/音速の5倍以上で飛行し、迎撃困難とされる「極超音速誘導弾」の製造態勢の拡充―など、敵基地攻撃能力の保有のための経費は、9390億円にものぼる。
 辺野古新基地建設には735億円計上し、普天間基地の補修費も盛り込んでいる。戦争準備と大軍拡反対の闘いを強めよう。
(中) (1月6日記)