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ビリョクだけどムリョクじゃない
高校生平和大使・兵庫の活動の紹介

2025/01/22
昨年11月に対馬で行われた「日韓高校生平和交流in対馬」に兵庫からも参加

 昨年10月、日本被団協がノーベル平和賞を受賞したが、受賞理由のなかに、次世代に引き継ぐ取り組みを評価する言及があった。曰く、「日本の新たな世代は被爆者の経験とメッセージを引き継いでいる。彼らは世界中の人々を鼓舞し、教育している。そうすることで彼らは、人類の平和な未来の前提条件である核のタブーを維持することに貢献している」―。
 知るものからすれば、高校生平和大使の活動のことがすぐに浮かんだ。実際に、高校生平和大使の活動は被団協から大きな協力と支援を受けて活動を広げてきたし、期待もされている。今回の被団協の受賞で、各方面からさらに注目されることになった。
 高校生平和大使は1998年、長崎市から活動が始まり、その年から現在まで、国連欧州本部の訪問をはじめとして世界各地で、〝核兵器廃絶と平和な世界の実現〞を訴え、国内外に向けた発信を行っている。
 高校生平和大使は、年に一度公募され、全国で選出される。
 兵庫でも、高校生平和大使を支援する兵庫県実行委員会が結成され、今年で5年目を迎えた。当初、コロナ過と重なり多くの困難があったが、高校生たちの柔軟な発想と行動力、多くの人々の支えで、兵庫の平和運動の一角をしっかりと担うに至っている。
 彼らの活動を報告する目的のLINEグループがあるが、今回、事務局の森哲二さんがLINEに投稿した内容を元に、森さんの了解を得て、本紙編集部が編集したもので彼らの活動を紹介したい。 【文責は編集部】
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 「高校生平和大使・兵庫」も、被爆者の方々の声を大切に「核兵器の廃絶と平和な世界の実現」を目指して活動を進めてきたが、核兵器をめぐり世界が危険な方向に動き出している昨今、昨年は被爆者の方々との交流をはじめ、海外派遣も含む多くの取り組みを行った。
〔ノルウェー派遣〕
 6月に広島、長崎の高校生とともにノルウェーに派遣された藤井ろれあさん(カナディアンアカデミー3年生)は、神戸市在住の被爆者、貞清百合子さん(神戸市原爆被害者の会)の思いをしっかりと伝え、多くの人たちに被爆者の思いや核兵器の非人道性を伝える役割を果たしてきた。
〔ジュネーブ派遣〕
8月にジュネーブに派遣された細谷美優花さん(小林聖心女子学院高校2年生)は、全国の高校生とともに、国連軍縮本部などで「核兵器の廃絶と平和な世界の実現」を訴えた。若者が世界にとって確実に必要で影響力のある存在であること、平和を訴えるためには「どんな世界を作りたいのか」を考える必要があること、様々な人と「対話」を重ね、同年代との交流を深めることの重要性を学び、今後の活動への思いを固めたとの報告がされた。
〔日韓高校生交流in対馬〕
 11月に行われた「高校生平和大使・日韓高校生平和交流in対馬」に種田果恵さん(姫路東高校2年生)が参加。日韓各15人ずつ計30人の高校生が言葉や文化の違いを超え、朝鮮通信使の歴史から学んだ。「対馬になれ」「友だちのいる国と戦争したくない。だから、国を越えて友だちを作ることが大事」「歴史を作るのは私たち」などの言葉が交わされ、国と国だけの外交努力ではなく、民間交流の大切さ、特に若者たちの交流の重要性を学ぶ機会となった。
未来へ
 「高校生平和大使・兵庫」は、全国の高校生平和大使の合言葉、「ビリョクだけどムリョクじゃない」の言葉のとおり、世界を変えていく力は私たちということに確信を持ち、「核兵器廃絶と平和な世界の実現」に向けて活動を続けていく。未来に向かって若者たちの努力は続く。

右上写真は「日韓高校生平和交流in対馬」でのグループ討議の1コマ