新社会兵庫ナウ

地域ユニオンあちこちあれこれ444
2つの賃上げ交渉

2024/12/25
 2024年も間もなく終わろうとしているが、あかし地域ユニオンのこの1年間の活動の中で、ぜひとも報告したい活動がある。株式会社ラピスネットと宏州貨物株式会社との賃金引き上げをめぐる交渉である。
 ラピスネットで長い間、最低賃金レベルで働いてきた非正規労働者の賃金引き上げの交渉は、春闘時期を中心に繰り返し行ってきたが、なかなか会社の姿勢を変えることはできなかった。ユニオンの要求は、勤続年数を重視した賃金制度を作ることであった。この間、会社の不誠実な交渉態度に対して地方労働委員会も活用し、要求前進の足掛かりをつかむこともできた。地域別最低賃金の引き上げが続いたことも理由と思われるが、今年7月の交渉でようやく、「勤続年数別賃金テーブル表」の提示があり、ユニオンの要求が実現したことになる。もちろん、小さな前進には違いないが、このルールを作り得たことの意味は大きい。
 宏州貨物は昨年4月、トラック運転手に大幅な賃下げの通知を行った。説明することもない文書1枚による通知である。相談に来た労働者はすぐにユニオンに加入し、団体交渉申し入れを行う。そもそも従来の賃金制度が業務になじまない歩合給を導入するなどデタラメであったため、会社はユニオンの質問にまともに答えることができず、昨年10月には社長と代理人弁護士が辞任する始末。新たな代理人が「会社提案の不適切」さを認めて、そこから実質的な交渉が始まった。その後、精力的に団体交渉を行い、5月には基本給と諸手当で構成される新たな賃金制度に合意し、ユニオン組合員には12カ月分の未払い賃金の支払いを確認した。当初の不利益提案を跳ね返しただけでなく、確かな賃上げを勝ち取ったことになる。
 今年も電話相談で済むもの、面談して必要な助言を要するもの、ユニオンに加入して会社との交渉まで進むものなど様々であるが、いつも考えることは、適切な助言であったのか、交渉の結果に組合員は本当に納得しているのか、などである。
金平博(あかし地域ユニオン委員長)