トピックス

長野で総会と視察交流
全国農業問題連絡会

2024/11/16
 20回目を迎えた全国農業問題連絡会(秋鹿好生会長)の総会を兼ねた視察交流会が11月15、16日の2日間、長野県生坂村で行われた。
 視察先の村営の農業公社では、農地の賃貸借や農作業受託などの農地保全事業を始め、農業技術研修や特産物開発事業、都市住民との交流、高齢者対策などの実情について学んだ。
 この中で村が力を入れているのが新規就農制度で、3年間の研修期間中は月15万円の生活保障や住宅(家賃2万円)の提供、農地や農業機械の無料貸し出しなど手厚いサポートによって、研修後の定着率は全国でもトップクラスと言われている。
 新規就農者は主にブドウなど果樹栽培に取り組んでいるが、整然として広がる果樹園に就農者の充実した取り組みが垣間見える。また、周辺の水田には1枚の放棄田も見当たらず、参加者から感嘆の声が上がり、「この村に農業再建のヒントがあるのでは」との感想が出された。
 総会では、この夏、高温障害やインバウンドなどによるコメ不足によって、「令和の米騒動」に発展し業者による集荷競争が激化したが、「政府は自給率引き上げの目標は示しても具体策は示していない」との指摘があった。
 また、凶作や有事の際に農家などに増産を指示できる罰則付きの「食料供給困難事態法」が6月に制定されたことへの批判の声があがった。
 こうした状況を踏まえ、①農家への「直接所得補償制度」を充実させ、有機農業や家族農業の育成や戸別所得補償制度の復活をはかる、②新規就農支援金の制度の拡充による後継者の育成、③農業者の自主的組織である農協の発展と民主化―などの方針が確認された。
 また、25年は島根県柿木村で開催することを確認したほか、会の名称変更を検討することになった。
(鍋島)