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私の主張(2020年7月14日号)
2020/07/21
無責任を貫き火事場泥棒続ける安倍内閣は退陣を
このところ東京を中心に首都圏で再びコロナ感染者数が増えている。市中感染が広がり、これがいわゆる「第2波」の到来を示しているものかどうかはよく分からないが、コロナとの共生を前提にした「ウィズ・コロナ」の時代として認識し、それに適した生活スタイルを心掛けねばならないのだろう。このことは疫学上やむを得ないことだとしても、「ウィズ・アベ」だけはもう勘弁願いたい。安倍政権には一刻も早く退陣を願いたい。
新型コロナウイルス感染の広がりが顕著になってからの安倍政権のコロナ対応は、自慢げたっぷりな記者会見とは裏腹に、実際には常に後手に回り、迷走をつづけ、十分な生活保障や営業支援も果たさないまま、あの「アベノマスク」配布の愚策を見せつけられては、実に無策・無能の対応であったと言わねばなるまい。そのことは世論調査での安倍政権に対する評価でも明らかだ。
しかも、もうひとつの大きな問題は、このコロナ禍への貧弱な対応の一方で、とんでもない政治姿勢を見せてきたことだ。まさに安倍政権の体質が如実に露呈したものである。そのキーワードのひとつが「火事場泥棒」である。あるいは、「姑息」ともいえよう。
ひとつの典型は、コロナ対策としての緊急事態宣言にかこつけ、非常事態宣言、憲法への非常事態条項の創設の論議に誘導し、改憲論議の促進を図ろうとしたことだ。
さらに、「これぞ、火事場泥棒!」、異例の黒川(元)東京高検検事長の定年延長を合法化し、司法をも支配下に組み入れようとする検察庁法改悪問題である。さすがにこれには数百万という“ツイッターデモ”が巻き起こるなどの民衆の反撃を食らい、反対の立場を明確にした検察庁や法務省の元幹部らまでが登場するに至っては、成立を断念するほかなかった。
そして、その後もまた、とんでもない火事場泥棒的な対応が起こっている。野党の会期延長の求めに応じず、追及を逃れるかのように閉じた通常国会の最終盤、突如、イージス・アショアの配備計画の停止が防衛相によって表明された。配備計画の停止自体は歓迎すべきことだが、なんと、これを格好の転機として、敵のミサイル発射拠点などを先制攻撃する敵基地攻撃能力保有の問題へと論理を飛躍させ、今後、憲法違反となる安全保障戦略見直しを堂々と進めようとしている。
火事場泥棒はこればかりではない。コロナをめぐる「緊急経済対策」にも、支援ということ以上に、経済構造の変革を目論む安倍政権の本音がちりばめられている。
そして、もうひとつのキーワードとして、「無責任」をあげなければならない。モリ、カケ、サクラ……、自らの疑惑のすべてについて、公文書をも隠蔽、改ざんし説明責任を果たそうとしない姿勢は、前法務大臣の現職衆議院議員とその妻の参議院議員が同時に公職選挙法違反容疑で逮捕されたときも同様だ。いつもように「(任命の)責任は私にある」とは語っても、一切「責任を取る」ことはしない。この醜悪な公選法違反の1件だけでも、総理大臣にとどまっていることは許されない。
安倍政権は、内閣支持率のかつてない低下に示されている通り、いま明らかに行き詰まっている。これまでの「一強体制」は綻びを見せはじめ、なんでも力で押し切ってしまえない状況が現出している。安倍首相の執念をかけた任期中の改憲も、何としてでもレガシー(政治的遺産)として残したかった東京五輪の開催もきわめて難しくなっている。
だが、支持率を低下させたまま、ずるずると引き下がることはありえない。巻き返しをはかる対抗策を練っているはずだ。彼らにとっては政権交代の心配がない今なら、機を見て解散・総選挙に打って出てこよう。改憲を真正面に掲げての挑戦なのか、あるいはコロナ禍を口実に消費税減税などの目くらましのような作戦でくるのかはもちろん不明だが、その時期をうかがっていることは間違いない。
どんなに安倍政権が酷い政権であっても、高い支持率ときわめて長期の政権運営をこれまで許してきたのは、何と言ってもそれに代わる受け皿を野党が示せてこれなかったことによる。何よりも野党の責任と言わねばなるまい。問われているのは、民衆が信頼を寄せられるような野党の結集とその政策、力の提示であり、それと一体で進むべき大衆運動・大衆行動の高揚である。
私たちにとっては、立憲主義を蹂躙し、法の支配を軽視・無視しつづけてきたこの安倍政権をさらに追い詰め、退陣へと追いやる好機である。民主主義回復への大きな一歩を切り開いていかねばならない。
野上 司(平和運動研究会)
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このところ東京を中心に首都圏で再びコロナ感染者数が増えている。市中感染が広がり、これがいわゆる「第2波」の到来を示しているものかどうかはよく分からないが、コロナとの共生を前提にした「ウィズ・コロナ」の時代として認識し、それに適した生活スタイルを心掛けねばならないのだろう。このことは疫学上やむを得ないことだとしても、「ウィズ・アベ」だけはもう勘弁願いたい。安倍政権には一刻も早く退陣を願いたい。
新型コロナウイルス感染の広がりが顕著になってからの安倍政権のコロナ対応は、自慢げたっぷりな記者会見とは裏腹に、実際には常に後手に回り、迷走をつづけ、十分な生活保障や営業支援も果たさないまま、あの「アベノマスク」配布の愚策を見せつけられては、実に無策・無能の対応であったと言わねばなるまい。そのことは世論調査での安倍政権に対する評価でも明らかだ。
しかも、もうひとつの大きな問題は、このコロナ禍への貧弱な対応の一方で、とんでもない政治姿勢を見せてきたことだ。まさに安倍政権の体質が如実に露呈したものである。そのキーワードのひとつが「火事場泥棒」である。あるいは、「姑息」ともいえよう。
ひとつの典型は、コロナ対策としての緊急事態宣言にかこつけ、非常事態宣言、憲法への非常事態条項の創設の論議に誘導し、改憲論議の促進を図ろうとしたことだ。
さらに、「これぞ、火事場泥棒!」、異例の黒川(元)東京高検検事長の定年延長を合法化し、司法をも支配下に組み入れようとする検察庁法改悪問題である。さすがにこれには数百万という“ツイッターデモ”が巻き起こるなどの民衆の反撃を食らい、反対の立場を明確にした検察庁や法務省の元幹部らまでが登場するに至っては、成立を断念するほかなかった。
そして、その後もまた、とんでもない火事場泥棒的な対応が起こっている。野党の会期延長の求めに応じず、追及を逃れるかのように閉じた通常国会の最終盤、突如、イージス・アショアの配備計画の停止が防衛相によって表明された。配備計画の停止自体は歓迎すべきことだが、なんと、これを格好の転機として、敵のミサイル発射拠点などを先制攻撃する敵基地攻撃能力保有の問題へと論理を飛躍させ、今後、憲法違反となる安全保障戦略見直しを堂々と進めようとしている。
火事場泥棒はこればかりではない。コロナをめぐる「緊急経済対策」にも、支援ということ以上に、経済構造の変革を目論む安倍政権の本音がちりばめられている。
そして、もうひとつのキーワードとして、「無責任」をあげなければならない。モリ、カケ、サクラ……、自らの疑惑のすべてについて、公文書をも隠蔽、改ざんし説明責任を果たそうとしない姿勢は、前法務大臣の現職衆議院議員とその妻の参議院議員が同時に公職選挙法違反容疑で逮捕されたときも同様だ。いつもように「(任命の)責任は私にある」とは語っても、一切「責任を取る」ことはしない。この醜悪な公選法違反の1件だけでも、総理大臣にとどまっていることは許されない。
安倍政権は、内閣支持率のかつてない低下に示されている通り、いま明らかに行き詰まっている。これまでの「一強体制」は綻びを見せはじめ、なんでも力で押し切ってしまえない状況が現出している。安倍首相の執念をかけた任期中の改憲も、何としてでもレガシー(政治的遺産)として残したかった東京五輪の開催もきわめて難しくなっている。
だが、支持率を低下させたまま、ずるずると引き下がることはありえない。巻き返しをはかる対抗策を練っているはずだ。彼らにとっては政権交代の心配がない今なら、機を見て解散・総選挙に打って出てこよう。改憲を真正面に掲げての挑戦なのか、あるいはコロナ禍を口実に消費税減税などの目くらましのような作戦でくるのかはもちろん不明だが、その時期をうかがっていることは間違いない。
どんなに安倍政権が酷い政権であっても、高い支持率ときわめて長期の政権運営をこれまで許してきたのは、何と言ってもそれに代わる受け皿を野党が示せてこれなかったことによる。何よりも野党の責任と言わねばなるまい。問われているのは、民衆が信頼を寄せられるような野党の結集とその政策、力の提示であり、それと一体で進むべき大衆運動・大衆行動の高揚である。
私たちにとっては、立憲主義を蹂躙し、法の支配を軽視・無視しつづけてきたこの安倍政権をさらに追い詰め、退陣へと追いやる好機である。民主主義回復への大きな一歩を切り開いていかねばならない。