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地域ユニオンあちこちあれこれ(2020年2月11日号)
2020/02/07
「敬老パス問題」に全力投入
熟年者ユニオン(山粼貢会長)はこの間、「見直し」という名の神戸市の敬老パス・福祉パス制度の改悪の動きに対し、制度の維持・拡充を求める運動に全力をあげてきた。
動きを知ったのは昨年6月の神戸新聞の記事。早速、会議を持ち、問題を審議する有識者会議の傍聴や、署名活動で広く市民にこの事態を知らせることなどを決め、運動をスタートさせた。
署名活動は神戸市内のターミナルを中心に行い、①制度を維持すること、②有識者会議に当事者の代表を加えること、③市は各地域で市民向けに説明会を開くこと、④母子家庭に交付されている福祉パスの廃止などの弱者切り捨ての福祉パス改悪は許せないこと、⑤西区や北区に住む高齢者にとっては便利な市バスの一律110円を距離別(子ども料金)にしようとしていることへの反対などを訴え、7月初めから11月まで取り組んだ。
予想通り、市民のほとんどが改悪の動きを知らず、驚いた様子で署名に応じてくれた。同じ取り組みを進める年金者組合との連携も追求し、署名の文面や市当局への署名提出を共同ですること等を申し合わせた。
第1次として1800筆余の署名を市に提出したが、今度は、同制度見直しに関するパブリックコメントを12月4日から1月10日という期間で募集することが12月の市の広報に掲載された。
こうした動きのなかで、熟年者ユニオンだけでなく、運動に賛同する他の5団体(アイ女性会議ひょうご、安心と笑顔の社会保障ネットワーク、憲法を生かす会・ひょうごネット、市民デモHYOGO、ろっこう医療生協)とともに新たに実行委員会を立ち上げて運動を広げることにし、三宮マルイ前での週2回の統一署名行動や各団体での創意工夫を凝らした独自の取り組みをすることなどを申し合わせた。
10回にわたる統一署名と各団体での取り組みで2月1日現在、署名は2340筆を超え、2月7日に市当局に提出。
運動はまだ続くが、活動で得たことは多い。他団体と活動を共にし、力を合わせることの大切さを改めて実感した。
加納 功(熟年者ユニオン事務局長)
“家族介護”に逆戻り
昨秋、須磨区で90歳の車いすの女性が死亡し、デイサービスなどを利用しながら介護をしていた孫が逮捕された。神戸市では、一昨年の8月には東灘区で92歳の母の殺害容疑で同居の69歳の息子が逮捕されるという事件があり、9月には中央区で夫の首を絞めて死亡させた疑いで妻が逮捕されるなど、介護殺人が続いている。いずれも“介護疲れ”がその理由だ。
少しずつ改悪されてきた介護保険制度
介護保険制度は、家族介護の限界から、介護の社会化を謳って2000年に始まった。当初は、1割負担で介護サービスを受けられることから、家族の介護の負担が軽くなるとたいそう喜ばれた。しかし、20年も経たないうちに介護保険制度は破綻しようとしている。
介護保険料は3年ごとに引き上げられ、導入当初の約2倍に、そしてやがて3倍になろうとしている。また、介護サービスの利用料は導入当初は一律1割負担だったが、この間、一部の人は2割負担からさらに3割負担になった。介護保険料だけは徴収され、充分な介護サービスを受けられない……。こんな現状では介護保険は “国家的詐欺”だと言われても仕方がない。
また、特別養護老人ホームへの入所は要介護3以上という線引きがされ、要介護2以下は入所の資格すらなくなった。しかも、要介護認定も、利用者の実状がどうであれ、給付費削減のため徐々に軽度化されている。
さらに、要支援1、2の通所・訪問介護を介護保険の対象から外し、総合事業へ移行させようとしたが、それを担う8割報酬のヘルパー不足のため、安定した介護サービスの提供が困難になっている。当然、撤退する介護事業者も出てきており、受け皿不足になっている。 そもそも介護事業者は低い介護報酬のもとに経営難を強いられ、そのしわ寄せはヘルパーと利用者にかかってきているのが実状だ。ヘルパーの多くは低賃金で非正規。定着率が低く、常に人員不足という深刻な問題がある。専門職としてのヘルパーを真っ当に評価し、それに見合った賃金を保障することが求められている。
一方で年間約10万人の介護離職
介護保険をめぐるこのような現状から、やむをえず介護のために離職せざるを得ない人が増えている。いわゆる“介護離職”だ。驚いたことに、年間約10万人が家族の介護のためにやむなく離職している。しかもその8割が女性だ。安倍政権の「新3本の矢」の一つ、安心につながる社会保障“介護離職ゼロ”とは程遠く、20世紀の“家族介護”に逆戻りしようとしている。
そして、それが、結果として介護殺人・介護心中につながっていく。
(神戸市会議員 小林るみ子)
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熟年者ユニオン(山粼貢会長)はこの間、「見直し」という名の神戸市の敬老パス・福祉パス制度の改悪の動きに対し、制度の維持・拡充を求める運動に全力をあげてきた。
動きを知ったのは昨年6月の神戸新聞の記事。早速、会議を持ち、問題を審議する有識者会議の傍聴や、署名活動で広く市民にこの事態を知らせることなどを決め、運動をスタートさせた。
署名活動は神戸市内のターミナルを中心に行い、①制度を維持すること、②有識者会議に当事者の代表を加えること、③市は各地域で市民向けに説明会を開くこと、④母子家庭に交付されている福祉パスの廃止などの弱者切り捨ての福祉パス改悪は許せないこと、⑤西区や北区に住む高齢者にとっては便利な市バスの一律110円を距離別(子ども料金)にしようとしていることへの反対などを訴え、7月初めから11月まで取り組んだ。
予想通り、市民のほとんどが改悪の動きを知らず、驚いた様子で署名に応じてくれた。同じ取り組みを進める年金者組合との連携も追求し、署名の文面や市当局への署名提出を共同ですること等を申し合わせた。
第1次として1800筆余の署名を市に提出したが、今度は、同制度見直しに関するパブリックコメントを12月4日から1月10日という期間で募集することが12月の市の広報に掲載された。
こうした動きのなかで、熟年者ユニオンだけでなく、運動に賛同する他の5団体(アイ女性会議ひょうご、安心と笑顔の社会保障ネットワーク、憲法を生かす会・ひょうごネット、市民デモHYOGO、ろっこう医療生協)とともに新たに実行委員会を立ち上げて運動を広げることにし、三宮マルイ前での週2回の統一署名行動や各団体での創意工夫を凝らした独自の取り組みをすることなどを申し合わせた。
10回にわたる統一署名と各団体での取り組みで2月1日現在、署名は2340筆を超え、2月7日に市当局に提出。
運動はまだ続くが、活動で得たことは多い。他団体と活動を共にし、力を合わせることの大切さを改めて実感した。
“家族介護”に逆戻り
少しずつ改悪されてきた介護保険制度
介護保険制度は、家族介護の限界から、介護の社会化を謳って2000年に始まった。当初は、1割負担で介護サービスを受けられることから、家族の介護の負担が軽くなるとたいそう喜ばれた。しかし、20年も経たないうちに介護保険制度は破綻しようとしている。
介護保険料は3年ごとに引き上げられ、導入当初の約2倍に、そしてやがて3倍になろうとしている。また、介護サービスの利用料は導入当初は一律1割負担だったが、この間、一部の人は2割負担からさらに3割負担になった。介護保険料だけは徴収され、充分な介護サービスを受けられない……。こんな現状では介護保険は “国家的詐欺”だと言われても仕方がない。
また、特別養護老人ホームへの入所は要介護3以上という線引きがされ、要介護2以下は入所の資格すらなくなった。しかも、要介護認定も、利用者の実状がどうであれ、給付費削減のため徐々に軽度化されている。
さらに、要支援1、2の通所・訪問介護を介護保険の対象から外し、総合事業へ移行させようとしたが、それを担う8割報酬のヘルパー不足のため、安定した介護サービスの提供が困難になっている。当然、撤退する介護事業者も出てきており、受け皿不足になっている。 そもそも介護事業者は低い介護報酬のもとに経営難を強いられ、そのしわ寄せはヘルパーと利用者にかかってきているのが実状だ。ヘルパーの多くは低賃金で非正規。定着率が低く、常に人員不足という深刻な問題がある。専門職としてのヘルパーを真っ当に評価し、それに見合った賃金を保障することが求められている。
一方で年間約10万人の介護離職
介護保険をめぐるこのような現状から、やむをえず介護のために離職せざるを得ない人が増えている。いわゆる“介護離職”だ。驚いたことに、年間約10万人が家族の介護のためにやむなく離職している。しかもその8割が女性だ。安倍政権の「新3本の矢」の一つ、安心につながる社会保障“介護離職ゼロ”とは程遠く、20世紀の“家族介護”に逆戻りしようとしている。
そして、それが、結果として介護殺人・介護心中につながっていく。