改憲の動きをウオッチング

(2024年11月13日号)

2024/11/13
■改憲勢力「3分の2」に届かず 現状での国会発議は不可能に
 10月27日投開票の総選挙で改憲勢力(自民党、公明党、日本維新の会、国民民主党、参政党、日本保守党)が獲得した議席数は287で改憲発議に必要な3分の2(310)に届かなかった。
 一方、立憲野党は166議席で3分の1を獲得。 改憲勢力は無所属の改憲派議員を含めても3分の2を下回ることから、現状のままでは改憲発議は不可能となった。
石破首相は、在任中の発議を目標にするものの、大きな壁が立ちはだかったことになる。
■総選挙の結果 自公惨敗 傲慢な自民「1強政治」に終わりを告げる
 裏金問題に象徴される金権腐敗政治への厳しい審判が下された。自民党と公明党の与党は15年ぶりに過半数を割り込み惨敗した。
 裏金政治への国民の不信と怒りがいかに大きかったかを示している。さらに、国民の怒りの元には、物価高に苦しむ国民の生活、自民議員の統一教会との根深い関係、5年間で防衛費43兆円の大軍拡など、暮らしと平和を破壊する自公政治に見切りをつけたいという国民の強い願いがあったからだ。安倍政権から岸田政権までの自公政権に厳しい審判を下したともいえる。
 今回の結果、自民党が数の力で、国会を無視し、ごり押しすることができなくなった。安倍政権以来の自民党の傲慢な「1強政治」に対する審判である。
 躍進した立憲民主党、立憲野党の責任はいよいよ重くなった。
 前号の小覧で10月1日に発足した石破内閣の性格に触れた。
 石破氏の改憲や安全保障に関連する主張に触れながら、戦争する国づくりで「安倍・岸田政権を超える危険性」と書き、総選挙の真っ最中であったことから石破・自公政権にストップをかけようと呼びかけた。
 総選挙の結果は、上述のとおりだが、朝日の社説(28日付号)は、「国民が不信任をつきつけた」「石破首相は職を辞すのが筋だ」と断じている。
共同通信社が10月28、29日に実施した世論調査によると石破内閣の支持率は32・1%で、内閣発足時の調査から18・6ポイントも下落している。また、自公連立政権の継続を望まないが53・0%だった。
 ところが石破首相は、28日の記者会見で「国政は一時たりとも停滞が許されない。国民のご批判にきちんと、厳粛に、適切にお答えしながら、現下の厳しい課題に取り組んでいき、国民生活を守る、日本国を守ることで職責を果たしてまいりたい」と引き続き政権を担う意欲を表明した(東京)。
 自公は、惨敗の反省もなく早々と連立政権の維持を確認し、国会では今、新しい政権の枠組みをめぐって、各政党の熾烈な駆け引きが始まっている(10月31日記)。
 総選挙で改憲発議が不可能な政治状況が出現した。改憲・「戦争する国づくり」阻止のたたかいにさらに邁進しょう。
(中)