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精神科病院の長期隔離で死亡
両親が病院側を提訴
支援に「初田竹重さんの人権回復を求める会」発足

2024/10/23
第1回期日後の報告集会で発言する初田竹重さんの父の毅さん=10月23日、神戸市中央区

 明石市魚住町の精神科病院「明石土山病院」に入院していた初田竹重さん=当時(50)の死亡は、長期間の隔離と病院側の不注意が原因だとして、加西市の両親が8月26日、病院を運営する医療法人社団正仁会を相手取り、約5700万円の損害賠償を求めて神戸地裁に提訴した。
 提訴後に会見した父の毅さん(81)は、「長期の隔離は正当な医療を受ける権利を侵害している。二度と息子と同じような人が出てほしくない」と訴えた。
 竹重さんは統合失調症で2019年5月に医療保護入院、翌6月に隔離が始まり、2年後の2021年4月14日、隔離室内で朝食のパンを喉に詰まらせ窒息死した。3畳ほどの隔離室は外から鍵がかけられ、亡くなる前の128日間は終日隔離されていた。本人も、両親も、隔離室から出してほしいと再三求めていたという。
 こうした中、提訴した両親を支えていくため、加西市内の精神保健福祉関係者らが原告を支援する団体「初田竹重さんの人権回復を求める会」を9月14日に設立、10月6日、加西市内で第1回集会が開かれた。支援団体は裁判を通じて精神医療の改善を訴えていくことにしている。
 裁判は10月23日、第1回期日が神戸地裁で開かれ、母の三千子さんが意見陳述した。当日は傍聴とその後の報告集会に支援者ら約50人が参加した。会では支援を広げるために会員を募っている。
 第2回期日は12月17日、リモートで行われる(傍聴はなし)。
(戸田)