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空襲を忘れず不戦を誓う 「いのちと平和の碑」に2191人の犠牲者の名前 新たに148人の刻銘追加式 6.7神戸市

2020/06/30

碑には新たに148人の名が刻まれた銘板がとり付けられた=6月7日、神戸市中央区

神戸大空襲から75年。
 今年は戦後75年の年。神戸大空襲からも75年だ。1945年の3月17日、5月11日、6月5日の大空襲をはじめ、何度も繰り返された空襲で神戸の街はほぼ焼き尽くされ、死者は8千人を超え、家を失った人は数十万に達したといわれる。戦後75年という節目の年にあらためて戦争の実相を振り返り、平和のための努力の方向などを考えることは大切なことだ。神戸空襲のことも忘れてはならないと心に刻みたい。【編集部】
 
神戸市中央区の大倉山公園には神戸空襲犠牲者の名前が刻まれた「いのちと平和の碑」がある。未来に向けて空襲を記録し、語り継ごうと、1971年に発足した市民団体「神戸空襲を記録する会」が1978年から犠牲者名簿を作り始め、2013年8月15日に落成した慰霊碑だ。
 その碑の前で6月7日、2年ぶりに犠牲者の刻銘追加式が「記録する会」の主催で開かれ、148人の名前が新たに碑に加わった。今回、遺族らから「記録する会」や神戸市に届けられた55人、「戦没した船と海員の資料館」の大井田孝さんから届けられた、神戸空襲で犠牲となった民間船の乗組員8人、神戸港に米軍が投下した機雷で沈没し亡くなった商船らの乗員85人の名が追加され、碑には計2191人の犠牲者の名が刻まれた。
 コロナ禍の影響で開催できるのかという不安もあったが、2年前から待っている高齢の人たちや、また待ち望みながら亡くなった人もあり、碑に刻銘すれば後日でも見に来られると、一般参加を募らず、会の関係者と遺族だけの約30人の参加での開催に踏み切った。
 4歳の娘を連れて参列した男性は、母親が鷹取工場付近の空襲で亡くなった父の刻銘をしたいと願いながら亡くなったことや、「子には私の祖父らが神戸空襲で亡くなりここに名が刻まれていることを覚えておいてほしい」との思いを語っていた。また、いとこ2人の刻銘をした女性は、「伯父がどんなに遺体を探しても見つけられず、出征の祝いにと呼び集めたことを悔やんでいた」と語り、伯母は、戦争孤児の施設「有隣学舎」の園長をして必死で孤児たちを育てていたことも語ってくれた。大逆事件の犠牲者が神戸空襲に遭い亡くなったことを知って届けてくれた人もいた。
 参加者は、神戸大空襲で8千人もの人が命を奪われたこと、負傷したり、孤児になったりして戦後も大変な思いをして生きてきたことを忘れない、2度と戦争をしてはいけない、させてはならない、と改めて誓った。(小城)


いのちと平和の碑=大倉山公園