改憲の動きをウオッチング

(2024年10月23日号)

2024/10/23
■改憲・大軍拡 石破内閣が発足 「戦争する国づくり」で安倍・岸田政権を超える危険性
 10月1日、石破内閣が発足した。「総理になったとたん言うことが変わった」と、「言行不一致」「変節だ」などと批判を浴びている。
 果たしてそうだろうか。これまでの改憲や安全保障を中心に、石破氏の主張を見てみよう。
〈改憲について〉
 「根っからの改憲論者」らしく総裁選政策集の「日本を守る」の筆頭に「憲法改正」を挙げ、さらに「国会での議論を促進し、総理在任中の発議を実現する」と表明している。石破氏が、戦力不保持を定めた「2項削除」を持論としていることはよく知られている。石破氏が幹事長時代にまとめた2012年の「自民党憲法改正草案」は、「戦争放棄」から「安全保障」にタイトルを変え、9条2項で規定されている戦力の不保持や交戦権の否認は完全に削除されている。その上、自衛隊を「国防軍」とし、集団的自衛権の行使を無制約で容認している。石破氏は理想の改憲案としており、「自民党憲法改正草案」は自民党のホームページから削除されているが、石破氏のホームページには今も全文が掲載されている。
 自民党は2日、憲法改正実現本部を開き、憲法に「9条の2」を新設して自衛隊を明記することなどを柱とした改憲の論点整理を全会一致で承認した(東京新聞)。
石破氏は記者団に対し、論点整理の内容に「賛成する」と述べ、持論の「9条の2項削除」は引き続き主張するとした(同)。
 石破政権は、安倍・岸田政権を乗り越える危険性がある。
〈安全保障について〉
 改憲と併せて重大なのは、日米軍事同盟の強化とともに、アジア版NAT O ( 北大西洋条約機構)を提唱していることである。
 石破氏は、総裁選政策集で「日米地位協定の改訂」を挙げ、「地域の多国間安全保障体制(アジア版NATO)の構築を主導」すると主張している。
石破氏は総裁選の直前に米保守系シンクタンクハドソン研究所に「日本の外交政策の将来」と題して寄稿した。
 この中で、「今のウクライナは明日のアジア。アジアにNATOのような集団的自衛体制が存在しないため、相互防衛の義務がないため戦争が勃発しやすい」(NHK)と述べ、中国やロシア、北朝鮮を抑止するためにアジア版NATOが必要だと強調している。
 さらに、中国などに対抗するために、「米軍の核兵器の共有や持ち込み」について具体的に検討すべきだと主張している(石破首相は解散直後に、アジア版NATOについて検討するよう自民党に指示した)。
 唯一の被爆国日本が国是である「非核3原則」の見直しを図り、アジア全域に核戦力強化を呼びかけるなどは断じて許されない。
 いま、総選挙のまっ最中。「戦争する国づくり」をさらに加速させる石破・自公政権にストップをかけなければならない。
(10月10日執筆)
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