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私の主張(2024年10月9日号)
PFAS汚染が自分の問題に
明石川流域の汚染問題通じて
2024/10/09
8月盆明け、前月末に受けたPFAS血液検査結果が届いた。明石市に住んで29年、浄水器も使っていないし血中濃度は高いだろうと思っていたが、届いた数値は予想以上だった。PFAS4種合計で全国平均(2021年、国が3地点で調査)の4・6倍、明石市で問題のPFOAは7・5倍、PFAS7種合計は米国科学アカデミーが「健康被害の恐れがある」とする基準値の2倍を超えていた。
明石川で全国的にもトップクラスのPFASが検出されたというのは何年か前、雑誌で目にしていたが、それが自分の暮らしと繋がっているとは思わなかった。家に届く水道水の約4割が明石川から取られていることを知らなかったのだ(住民・消費者としての無知が恥ずかしい)。ところが、去年9月、丸尾まき県会議員が政務活動で行った明石市民9人の血液検査でとても高い数値が出たと知り、この問題が一気に自分の問題となった。その後、11月から検査を受けた人たちらと一緒に市民の会「明石川流域のPFAS汚染を考える会」で活動している。
今回の血液検査は、9人の事例だけでは少ない、少なくとも30人のデータは集めたいと4月末、「会」が企画し始め、33人の受検者と検査料助成のためのカンパを集めて実現した。PFAS血液検査は民間の研究機関にかかれば5、6万円はするという高額のうえ、近くの医療機関でやってくれる所もなく簡単ではなかったが、幸運にも大阪の団体や神戸医療生協の方々の協力で実施できた。「会」は結成後、明石市、明石市議会に血液検査への助成を要望してきたが、市は「(今)水道水のPFASは国の目標値を下回り、安心・安全。2025年度からは川からの取水もなくしていく」「血中濃度と病気の関連についての知見は確定されていない」を繰り返し、対応する気は全くない。
確かに明石市は2020年度から浄水場の活性炭を変更し、交換頻度も倍にするなど、お金をかけて水道水の国の目標値50ng/L(ナノグラムパーリットル)をほぼ守っている。しかし、この50ng/Lも十分ではないのだ。アメリカでは今年から2PFASで8ng/Lを規制値としている。昨年WHOで発がん性が最も高いグループに位置付けされたPFOAはゼロが望ましい。それに、「永遠の化学物質」と言われ体内に蓄積していくPFASは半減期が3.5年だ。今まで知らずに身体に溜めこんできた私たちには何の対処もしてくれないの?「通常の検診で気をつけて」と言われるが、血液検査も受けていない人は何か病気がわかってからしか対応できないということか。数々の公害を経て得た「予防原則」はどこに?
これが市民に寄り添う、ボトムアップと言って始まった現明石市政の現実だ。当初、私はこの問題、全国で広がりつつあるPFAS汚染問題に、全国に先駆けて市と一緒に取り組みたいと思っていた。環境問題が専門の丸谷市長ならできるのではという期待は、今はもうなくなった。
去年の秋、岡山県吉備中央町で業者が放置していた使用済み活性炭から超高濃度のPFOAが流れ出し水道水が凄まじく汚染されていたという事実が発覚した。住民が事態を知らされたのは水道水飲用禁止という町からの突然の通達からだった。町は2020年から高濃度であることを知っていたが放置し、公表しなかった。町民は「有志の会」を結成、署名を集め、町に血液検査を求めたが応じなかった。「有志の会」は自分たちで住民27人の検査を行い、全員の高濃度曝露が判明した。その後の運動で、町では今年10 月から希望する住民と企業に勤める人に血液検査を実施することになった。公費で行われる全国初のPFAS血液検査だ。2千人以上の検査に注目したい。
国の規制がない中で、自治体はどこも独自の血液検査や汚染源除去、企業への働きかけに積極的ではない。そんな中、今年6月、世界的にもトップクラスのPFAS汚染を起こしてきたダイキン工業が井上会長の退任にあたり、「特別功績金」43億円を支給すると聞いた。彼の在職30年は、まさに摂津市周辺の汚染と共にあったはずだ。PFOA製造中止後10年余り経つ今も被害を被っている住民への謝罪、補償はない。
今後の活動を考えると明るいことばかりではないが、「会」のメンバーはこんな社会・環境を子どもたちに残せないと意思を固めている。
(川辺比呂子)
※日本政府が健康被害との関連を認めないPFASの真実をこの映画でご覧ください。
「ダーク・ウォーターズ 巨大企業が恐れた男」(2019年/アメリカ) Amazon DVDレンタルで視聴可。
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明石川で全国的にもトップクラスのPFASが検出されたというのは何年か前、雑誌で目にしていたが、それが自分の暮らしと繋がっているとは思わなかった。家に届く水道水の約4割が明石川から取られていることを知らなかったのだ(住民・消費者としての無知が恥ずかしい)。ところが、去年9月、丸尾まき県会議員が政務活動で行った明石市民9人の血液検査でとても高い数値が出たと知り、この問題が一気に自分の問題となった。その後、11月から検査を受けた人たちらと一緒に市民の会「明石川流域のPFAS汚染を考える会」で活動している。
今回の血液検査は、9人の事例だけでは少ない、少なくとも30人のデータは集めたいと4月末、「会」が企画し始め、33人の受検者と検査料助成のためのカンパを集めて実現した。PFAS血液検査は民間の研究機関にかかれば5、6万円はするという高額のうえ、近くの医療機関でやってくれる所もなく簡単ではなかったが、幸運にも大阪の団体や神戸医療生協の方々の協力で実施できた。「会」は結成後、明石市、明石市議会に血液検査への助成を要望してきたが、市は「(今)水道水のPFASは国の目標値を下回り、安心・安全。2025年度からは川からの取水もなくしていく」「血中濃度と病気の関連についての知見は確定されていない」を繰り返し、対応する気は全くない。
確かに明石市は2020年度から浄水場の活性炭を変更し、交換頻度も倍にするなど、お金をかけて水道水の国の目標値50ng/L(ナノグラムパーリットル)をほぼ守っている。しかし、この50ng/Lも十分ではないのだ。アメリカでは今年から2PFASで8ng/Lを規制値としている。昨年WHOで発がん性が最も高いグループに位置付けされたPFOAはゼロが望ましい。それに、「永遠の化学物質」と言われ体内に蓄積していくPFASは半減期が3.5年だ。今まで知らずに身体に溜めこんできた私たちには何の対処もしてくれないの?「通常の検診で気をつけて」と言われるが、血液検査も受けていない人は何か病気がわかってからしか対応できないということか。数々の公害を経て得た「予防原則」はどこに?
これが市民に寄り添う、ボトムアップと言って始まった現明石市政の現実だ。当初、私はこの問題、全国で広がりつつあるPFAS汚染問題に、全国に先駆けて市と一緒に取り組みたいと思っていた。環境問題が専門の丸谷市長ならできるのではという期待は、今はもうなくなった。
去年の秋、岡山県吉備中央町で業者が放置していた使用済み活性炭から超高濃度のPFOAが流れ出し水道水が凄まじく汚染されていたという事実が発覚した。住民が事態を知らされたのは水道水飲用禁止という町からの突然の通達からだった。町は2020年から高濃度であることを知っていたが放置し、公表しなかった。町民は「有志の会」を結成、署名を集め、町に血液検査を求めたが応じなかった。「有志の会」は自分たちで住民27人の検査を行い、全員の高濃度曝露が判明した。その後の運動で、町では今年10 月から希望する住民と企業に勤める人に血液検査を実施することになった。公費で行われる全国初のPFAS血液検査だ。2千人以上の検査に注目したい。
国の規制がない中で、自治体はどこも独自の血液検査や汚染源除去、企業への働きかけに積極的ではない。そんな中、今年6月、世界的にもトップクラスのPFAS汚染を起こしてきたダイキン工業が井上会長の退任にあたり、「特別功績金」43億円を支給すると聞いた。彼の在職30年は、まさに摂津市周辺の汚染と共にあったはずだ。PFOA製造中止後10年余り経つ今も被害を被っている住民への謝罪、補償はない。
今後の活動を考えると明るいことばかりではないが、「会」のメンバーはこんな社会・環境を子どもたちに残せないと意思を固めている。