新社会兵庫ナウ

ひょうご碑物語82
鈴木商店本店跡地記念碑(神戸市中央区栄町)

2024/10/09
1918年の米騒動で襲撃された神戸の鈴木商店のOBによって2017年に建立された碑

 この夏、突然の米不足が大きな話題に。産地と消費者の間に介在する業者などが大儲けをたくらみ買い占めているのでは、などといった憶測が飛び交い、大正期の米騒動を想起させた。
 1918(大正7)年の米騒動は、富山の漁師町の女性たちが7月に決起し、瞬く間に全国368か所の米蔵や酒屋、商店などの襲撃(焼き打ち)へと広がる。シベリア出兵を見越した地主や米穀商などの買占めによって米価が高騰したためで、神戸で隆盛を誇っていた鈴木商店も買占めのうわさが広がり、8月12日に神戸製鋼所の米蔵や神戸新聞社などとともに、栄町にあった本社や関連施設が襲撃された。
 この大正の米騒動は50日間続き、参加者は100万人に及んだとされ、その後の労働運動(1920年の第1回メーデーの開催)や1922年の日本農民組合の結成、同年の全国水平社の結成など、民衆運動が大きく前進するきっかけになった。
 因みに、1874(明治7)年に弁天浜で洋糖取引商として創業した鈴木商店は、三井・三菱と並ぶ大商社に急成長するも第1次大戦後の1927(昭和2)年に破綻。
【メモ】JR神戸駅から南東へ5分。神戸中央郵便局西向。2017年に鈴木商店OBによって建立された。