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被災地から問うアスベスト対策
専門家らでシンポジウム
「災害とアスベスト―阪神・淡路30年プロジェクト」が主催

2024/09/01
4人のパネリストが被災地でのアスベスト問題について議論した=9月1日、神戸市中央区

 シンポジウム「阪神・淡路大震災30年 被災地から問うアスベスト対策」が9月1日、中央区文化センターで開かれた。NPO法人ひょうご労働安全衛生センターの呼びかけで結成された「災害とアスベスト―阪神淡路30年プロジェクト」が主催した。能登半島地震や台風などによる甚大な自然災害が増えつつあるなか、市民やユニオン関係者など80人が、被災地で飛散するアスベストの現状や対策のあり方をめぐるパネリストの議論に学んだ。
 中路重晴さん(熊本学園大学教授)は、「阪神・淡路大震災の体験と飛散アスベストよる健康被害の実態把握からその教訓を全国に警鐘していく必要がある」と力説した。
ボランティア活動を支援する村井正清さん(被災地NGO協働センター顧問)は、「能登半島地震発生の翌日に現地入りした。被災地の状況と進まない復旧作業の中でボランティアへの事前宣伝によりマスク着用が進んできた」と報告した。
 リモートで参加した永倉冬史さん(NPO中皮腫・じん肺・アスベストセンター事務局長)は、6年前の真備町の水害などの調査から「がれき撤去や仮置き場などでの乾燥によるアスベスト粉じんの飛散についての情報周知、防じんマスクの着用、分別収集などの徹底を」と力説した。
 松田毅さん(神戸大学名誉教授)は、アスベストの暴露を回避するための「アスベスト・リスク・コミュニケーションの課題」を解説した。
 同プロジェクトは来年1月12日、「阪神・淡路大震災から30年―アスベスト対策シンポジウム」の開催を予定。当面は被災地でボランティア活動に従事した人たちの健康調査アンケートに取り組んでいる。  
(菊地)