新社会兵庫ナウ
水脈(2024年9月25日号)
2024/09/25
秋分の日(秋の彼岸の中日)も過ぎたのに、「危険な暑さ」は残り、熱中症の心配もある▼新聞では大きなスペースが割かれておせち料理の広告が掲載されている。3万円から5万円を超えている▼おせち料理の語源は、昔、宮中の季節の節目に催された宴会(節会)の料理である。後に民間に普及し、もっぱら正月料理にしぼられるようになった。正月料理であるから、さまざまな季節感や縁起が盛り込まれている▼おせちが呼び起こす情感は、ある朝、突如訪れるものではない。秋から冬へと積み重ねられた労働や生活がもたらすものである。汗や涙が運んでくるものである。そういう大切な情感を踏みにじって、炎暑への警戒と正月の夢を運ぶおせち料理を同時に対処せよというのは、まごうかたなき暴力である▼利潤と競争を無上のものとする資本主義の振る舞いであるから、早期予約にはプレミアがついている。人間らしい情感が資本の論理によって無情に削り取られていく。ぼーっと生きているとみんな出し殻になってしまう▼自民党総裁選挙の9人の公約などすでにそうである。人間らしい理想も情感もなくなっている▼皆さん、人間らしさだけは守り抜こう。17 日は中秋の名月。見ましたか。