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王子公園再整備計画
違法な計画決定の取り消しを
住民らが神戸市を提訴

2024/08/28
(写真上)神戸市を相手取った行政訴訟の提訴のために神戸地裁に向かう原告の住民ら=8月28日、(写真下)提訴後の記者会見=神戸市役所内、
都市公園法に違反
 王子公園の再整備計画をめぐり、神戸市が関西学院大学誘致のために公園の一部を都市公園区域から除外し、別の地区計画の決定処分を行ったのは都市計画法の趣旨に反するとして、この変更処分の取り消しを求める行政訴訟を周辺住民5人が8月28日、神戸地裁に提訴した。原告らは2021年末の突然の再整備素案の発表以来、2年8カ月にわたり、市民不在の再整備計画の白紙撤回を求め、「王子公園・市民ミーティング」実行委員会という市民団体に結集しながら、さまざまな活動を積み重ねてきたが、市民の声を全く聴き入れようとしない神戸市の姿勢の前に今回の提訴に踏み切った。

 神戸市は今年5月、王子公園の区域約3・5㌶を公園から除外して関学に売却するために必要な都市計画法上の手続きを強行した。
 今回の訴訟は直接的にはこの変更処分の取り消しを求めるものであり、原告らは、この変更処分は、「公益上特別の必要がある場合」などを除き、「区域の全部、または一部について都市公園を廃止してはならない」とする都市公園法(16条)に違反するものだと主張している。
 王子公園は、スポーツ施設や景観・環境も含めた「市民の居場所」として、さらに阪神・淡路大震災で経験したように防災拠点としての大きな機能と意義を持っている。これらをなくしてまで関学の誘致がそれ以上に特別に必要な公益性のあるものなのかが、今後争われる。
 この日、午後1時に神戸地裁に提訴した原告らは、午後2時から神戸市役所内で記者発表を行った。原告を代表して「王子公園・市民ミーティング」実行委員会代表の小林るみ子さんが、これまでの運動の取り組みや提訴に至った経過などを述べ、この間浮かびあがった再整備計画の問題点として、①スポーツ諸施設の廃止と都市公園面積の減少、②防災拠点としての機能の喪失、③樹木の伐採や環境の変化、④プールやサブグランドなどがなくされ、生徒や子どもたちの居場所の喪失、⑤行政主導・市民不在などの5点を指摘し、今後、裁判闘争と住民運動を車の両輪として取り組んでいくことを強調した。
 代理人の針原祥次弁護士からは、法律上の観点から裁判の争点などについてのかみくだいた解説も行われた。
 同実行委員会では裁判費用も含めた活動資金のカンパをクラウドファンディングも利用して呼びかけている。