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平和への想いさらに強く
ピースフェスタ明石が20回目
講談師・神田香織が講演

2024/08/18
(写真上)メイン行事には会場満席の236人が参加し神田香織さんの講談の「抜き読み」がたくさん織りこまれたお話に聞き入った=8月18日、明石市・子午線ホール(写真下)中沢啓治さんの『はだしのゲン』の原画展(複製)=8月、明石市・アスピア明石

 明石地労協人権平和センターなどが中心になった実行委員会が主催し、戦後60年の2005年から始まった「ピースフェスタ明石」は今年、20回目という節目を迎え、8月10日から18日の期間、アスピア明石北館・ウィズあかしを会場に開かれた。「平和・いのち・子ども」をメインテーマとして貫き、期間中はさまざまな展示、戦争体験談や講演などの多彩な催しを通じて平和の大切さ、命の尊さ、未来への希望をわかりやすくアピールしようとしてきたイベントだ。今年のメイン行事は18日の「神田香織講演会」だった。

 子午線ホールで開かれた「神田香織講演会」には猛暑をおして参加した236人で会場は満席となった。
 登壇した神田香織さんの講演テーマは、「〜うったえは、『明るく 楽しくしつっこく』〜」。自らの活動のモットーである。
 講演はまず、講談についての解説から始まった。そして、自己紹介を兼ねて講談を始めた経緯、さらに「はだしのゲン」や「チェルノブイリの祈り」などに代表される社会派講談と呼ばれる講談をなぜ語るようになったのかについて語った。「二ツ目」だった時のサイパン旅行でバンザイクリフのことを知り、衝撃を受けた。戦争の現実だった。そして、『はだしのゲン』に行きつき、作者の中沢啓治さんと出会う。講談にすることを了解され、励ましも受けた。もし被爆者から否定的な声が出たら1回きりで止める覚悟で始めたという。だが、被爆者たちはぜひ伝え続けてほしいと激励した。
 貫かれているのは、何の罪もないのに理不尽で不条理な目に遭っている人びとの立場から講演をつくり、語ってきたことだ。悔しさや悲しさから力も与えてもらうのだと語った。今の政治への怒りも表し、かつてなくキナ臭い世の中になっていることへの憂いと数々の批判の言葉も。
 こうした話の流れのなかで、「チェルノブイリの祈り」や「福島の祈り」の講談を抜き読みで演じ、最後には講談「はだしのゲン」をダイジェストながらも力強くたっぷり語って講演を締めくくった。
 ピースフェスタでは期間中、さまざまな展示が行われた。「ウォールギャラリー展」として中沢啓治の『はだしのゲン』の複製原画展のほか、「ヒロシマ・ナガサキ原爆写真」のパネルなども展示され、「今と昔、平和を考えるギャラリー展」では、戦時下の暮らしの品々をはじめ、「明石空襲」、「憲法」、「沖縄」、「原発」、「ウクライナとガザ」などをテーマにした数多くの展示物が並べられた。