ひょうごミュージアム

ひょうご描き歩き153
平和祈念塔(南あわじ市)

2024/08/28
  元長崎市長・本島等氏の長崎原爆忌「平和宣言」―人類は滅亡の道を歩もうというのか、時は迫っている。いまや人々は国境を越え、信教、信条を越えて必死の努力を払っていくべきときである―を銘板に記す平和祈念塔が南あわじ市の諭鶴羽(ゆづるは)神社の山ぼうしの広場に建っている。
 この諭鶴羽神社は、県指定天然記念物のアカガシの群落、親子杉、ユズリハの木等の社叢林に囲まれ、ユズリハの木はこのあたりの山内に多く茂っていて、この神社の名の由来かも。ユズリハの漢字名は「譲葉」。新葉が伸びきってから古い葉が落ちる様を、親が子に代を譲る様子に喩えて名付けられ、兵庫県の「教育の木」になっている。
 この神社を上っていくと淡路島の最高峰「諭鶴羽山」(608m)に達する。『枕草子』に「峰はゆずるはの峰 あみだの峰 いや高の峰」と書かれた名山で、『淡国通記』にも「南海に臨みて最高の峰あり、この山を諭鶴羽山という。(イザナギ、イザナミの)この神 はじめ鶴の翼に乗り、南紀に飛び往来 神遊したまう」と記される。小高い台地の頂上からは海を隔てて紀州の山々、眼下に沼島が望まれる。南の海沿いの山懐は灘黒岩水仙郷。西方の大見山の山頂には丹下健三氏設計の戦没学徒記念若人の広場もある。
(嶋谷)