新社会兵庫ナウ

地域ユニオンあちこちあれこれ436
勤続年数に応じた賃金体系をかち取る

2024/08/14
 あかし地域ユニオン・ラピスネット分会では、臨時作業員について、同一労働同一賃金を目指し、正社員と同等の賃金制度を求めて取り組んできたが、7月8日の交渉で、「勤続年数に応じた賃金テーブル」を7月から導入することを確認した。これによると、新賃金体系は、初年度は時額1100円とし、3年間隔11段階で3年ごとに30円が加算され、30年勤続すると時額は最大1400円となる。3年ごととはいえ、勤続年数に応じて賃金額が決まる、言わば「定期昇給」を採用した画期的な制度と言える。
 ラピスネット分会の臨時作業員の賃上げ要求に対し、これまで会社は、「税制上の扶養の範囲内に留まればいい。最低賃金に違反しなれば問題ない」として、最低賃金が上がるときに賃金改定を行うという差別的な対応に終始してきした。また、正社員の賃金体系などの資料提供も求めてきたが、会社は開示しようとはせず、これでは交渉にならないとして、2022年11月9日に兵庫県労働委員会に「誠実な団体交渉の実施」を求めて「あっせん」を申請した。
 労働委員会も会社側の対応に問題があると判断し、①使用者は、正社員の賃金決定の根拠について資料を示して説明し、協議する、②使用者は、同一賃金同一労働の法の趣旨に基づいて臨時作業者の賃金体系の整備に向け検討を進める等の「あっせん案」が示された。この「あっせん案」に基づいてこの間交渉を進めてきたが、ようやく臨時作業員の賃金体系が策定されることとなった。
 分会のあきらめない、ねばり強い取り組みがこの成果につながったと言える。分会組合員は「長年悔しい思いをしてきたが、大幅な賃上げや勤務年数も考慮してくれることになり、想像以上の成果が得られてよかった」と思いを語ってくれた。
 ようやく新賃金体系が策定されたが、賞与など正社員との格差はまだまだある。この制度を第一歩にして格差解消を目指し、引き続き取り組んでいきたい。
宮本誠之(あかし地域ユニオン副委員長)