改憲の動きをウオッチング

2020年6月23日号

2020/06/30
■国民投票法改定案が継続審議に 任期中の安倍改憲スケジュール行き詰まる
 安倍首相は、憲法記念日に、日本会議が主導する改憲集会にビデオメッセージを寄せ、「憲法改正への挑戦はたやすい道ではないが、成し遂げていく決意に揺らぎは全くない」と、任期中の改憲意欲を改めて示した。
 6月17日、通常国会が閉会した。安倍・自民党は、通常国会で国民投票法改定案の早期成立を狙ったが、野党の抵抗で継続審議に追い込まれた。
 国民投票法改定案は2018年6月に、自民、公明両党と日本維新の会などが国会に共同提出して以来、6回開かれた国会の憲法審査会でほとんど審議されないまま継続審議が続いていた。安倍首相がこだわり続けていた自民党改憲案の提示もできないままである。
 各メディアの世論調査でも明らかなように、「安倍政権下の改憲反対」の国民世論の反映であり、また、野党が世論を背に、常に足並みをそろえて抵抗した成果で.ある。
 衆院は、今国会で自由討議を1回行ったのみである(5月28日)。与党は「速やかに成立させ、憲法改正の中身の議論を行うべきだ」と主張。野党は「(国民投票の)ルールの公正が優先されるべき課題だ」と主張し、入り口で平行線が続いたまま終わった(毎日)。
 参院は今国会で1回も実質審議が行われず、2018年②月以来実質的な議論は一度も行われてない。
 国民投票法は、第1次安倍政権時の2007年に制定を強行。議員立法でありながら、最低投票率の規定がないなど、参院で18項目にわたる付帯決議が採択された欠陥法として施行された(2010年)。
 今回の自民党などの改定案は、共通投票所制度の創設や洋上投票の対象拡大などが中身だが、最低投票率の規定がないばかりか、テレビやインターネットなどを使った広告も野放しにしており、根本的な欠陥には何一つ手を付けていない。
 野党は、資金力に勝る政党のテレビやネットで世論を誘導する広告量の規制を求め、与党案との並行審議を要求している。規制をしない改定案は「9人対100人で野球をするようなものだ」と批判している。
  安倍首相の自民党総裁任期は2021年9月まで。残る国会は秋の臨時国会と来年の通常国会の2国会だけである。安倍改憲スケジュールは行き詰っている。
 安倍政権下の改憲反対の世論をいっそう盛りあげ、国民投票法改定と改憲発議を阻止しよう。

■アベの守護神・黒川検事長失脚 その日、首相の刑事告発
 黒川氏が失脚した5月21日、全国の弁護士・法学者659名が「桜を見る会・前夜祭」問題で、公職選挙法・政治資金規正法違反で、安倍首相らを東京地検に刑事告発した。
 告発人らは同日、「与党の数の力で、国会では真相究明が阻まれている」「議会制民主主義、法治主義を回復する」ため、「強制捜査も含む徹底した捜査を行うことを強く求める」との「声明」を発表した。(中)