新社会兵庫ナウ

私の主張(2024年7月10日号)
兵庫県議会が百条委員会設置
斎藤知事告発文書の真偽調査

2024/07/10
 兵庫県議会で51年ぶりに調査特別委員会(百条委員会)が設置された。元西播磨県民局長(W氏)が3月中旬に、匿名で一部マスコミ、県会議員に送った斎藤知事のパワハラ等(パワーハラスメント、公職選挙法や地方自治法違反などの疑惑、企業からの贈答品などの受け取りなど)について記載された文書の真偽等に関する調査のためである。最近になってマスコミの全国版でも取り上げられ、多くの県民が知るところになっている。この文書は、齋藤知事就任後に知事のパワハラ等の行為について、県職員の間で共有されていた話題(噂も含めて)をW氏がまとめたものである。
 定例会見やイベント等で目にする斎藤知事の若く真面目で静かな印象からは、パワハラなどは想像できない方が多いのではないか。今回の真実はこれからの百条委員会で明らかになるが、原因は知事や副知事・部長なども含めてその人間性・人格に問題があることだ。知事はすぐに感情的になる(キレる)。権威主義者で「自分は県の最高執権者である」との発言もある。
 その人間性は、3月27日の記者会見での「事実無根、嘘八百、法的手段も……」に表れている。匿名で送られた文書の犯人捜しで、今年の初めに出された西播磨県民局長メッセージ等(現在は削除)からW氏と決め、片山副知事が西播磨県民局に乗り込み(会見の2日前)、パソコンを押収、その中に文書のデータを見つけ、まさしく「首をとった」勢いでの会見となった。あまりにも性急で稚拙である。W氏と元産業労働部次長(S氏)が退職届を保留され、内部委員会での調査に基づき5月7日にW氏は3か月の停職処分、S氏は4月12日に処分なく退職となった。
 斎藤知事は現在47歳。自分よりも行政経験の長い年長の部長や県民局長を平気で怒鳴る。知事曰く、「強く・厳しく指導した」。筆者が古いのかもしれないが、いくら知事であっても行政経験の長い年長者を怒鳴ることなど筆者には考えられない。東播磨市町長懇話会会場となった考古博物館での出来事だ。会館入り口20メートル手前で降ろされ、歩かされたことに対して十分な配慮(動線)が欠けていると怒鳴った。ちなみにそこは、普段から車止めが設置されており自転車も進入禁止である。さらに他の市町長は、公用車であっても駐車場から260メートル歩くように言われていた。
 企業からの贈答品問題(おねだり体質)では、加西の家電メーカーからの高級なコーヒーメーカーも産業労働部長が受け取っていた(後に返却)ことが、本人から述べられている。トレックジャパンのロードバイク(60万円相当)やアシックスのスポーツウェア等は、企業との連携協定による貸与であり、個人としての受領ではないと言い、また、PRのためであれば商品を受け取るとも言っている。県下の特産品や農産・海産物等の受領も、以前からの慣習の範囲としている。中には、但馬地域でお土産とされた松葉かにを、県職員3人が「こんな高級なものは受け取れません」と断った分も含めて持ち帰っていることが報道されている(デイリー新潮)。これが慣習の範囲か? これらは指摘されたことに対する後からの辻褄合わせ・詭弁である。
 公職選挙法や地方自治法違反などもあるが、ここでは省略して問題点を指摘する。
 まず1点目は、内部告発・公益通報制度の問題である。通報者は保護されなければいけない。しかし、知事等が告発されているにもかかわらず、内部委員会の調査によって、W氏が退職届の保留・3か月の停職処分にされたことである。知事が最初に「事実無根、嘘八百、法的手段も……」と会見で発言しているので当然ながら、その方向での結論となった。また、それに関わった弁護士は、告発文書の中にでてくる信用保証協会の顧問弁護士で利益相反に当たる立場であることからも、中立性・客観性が保たれているとは言い難い。内部告発問題の調査は、十分な中立・客観性が担保された第三者委員会で行われるべきであった。
 2点目は、W氏のほかに、S氏も退職届を保留されたが、このことは人事権の乱用・組織的パワハラと言える。産業労働部長の処分も、また逆の意味での人事権の乱用である。
 3点目は、その処分は白紙撤回されるべきである。今後、W氏は人事委員会に申し立てを行うと考えるが、一日も早い身分の回復を願う。
 4点目は、今回の問題を教訓として、県組織の立て直しと県民の信頼回復を得ることである。
(文責:えいちゃん)