新社会兵庫ナウ

おんなの目(2024年7月10日号)
ジェンダー公正は134年の遅れ

2024/07/10
 6月23日、通常国会は閉会した。昨年発覚した自民党の政治資金パーティー裏金問題をめぐって多くの時間が費やされたが、政治とカネの根っこの問題は何ひとつ解明されないまま、「改正政治資金規正法」としてザル法のまま成立した。
 また、英・仏との次期戦闘機共同開発条約、改定防衛省設置法、地方自治法改定など戦争準備が進んだ。恐ろしいことだ。オンラインで20万筆を超える反対署名があった離婚後共同親権導入の家族法や「育児・介護休業法」など身近な課題の法律も改正されている。
 一方、30年越しの要求が続く「選択的夫婦別姓制度」は、今国会でも再三成立を求めて質問項目にあがっていたが、岸田首相の答弁はいつも「別姓」と言わずに「別氏」と言い「家族が壊れる」と自民党の決まり文句の答弁を繰り返し、明治の民法、家制度に固執し続ける。なぜ、結婚したら夫(妻)の姓に変えなければならないのか、仕事等で不都合が生じ「実務的」でないのに「選択」を許さない政治。同日、K新聞では、「夫婦別姓、先送りできぬ」の見出しで経団連会長の記者会見の記事を掲載。ジェンダー問題に取り組まないと日本の競争力が弱体化してしまうと背景を説明し、「選択的夫婦別姓」の早期導入を求めたと報じた。すでに9割の企業が通称使用を認めているそうだが、現実には多くの女性が働き方の中でも不都合を感じていると問題を指摘している。
 2021年発行のちくま新書『夫婦別姓』を読んで見ると「夫婦同姓が法律で強制されているのは今や日本のみ」とあり、海外に住む7人がそれぞれの国の歴史や家族の形を執筆している。英国=すべての人に「生きたい名前で生きる自由」を。フランス=多様なカップルのあり方が少子化に終止符。ドイツ=別姓が開く女性活躍の道。ベルギー=家族の姓はバラバラが「普通」。韓国=戸籍制度を破棄した絶対的夫婦別姓の国、などなど。
 自民党の「選択的夫婦別氏制度を早期に実現する議員連盟」の議員も座談会に参加しており、自民党の中で執拗に反対しているのは1〜2割と述べている。賛成派も家族を大事にする点は同じだとも。
 時同じくして世界経済フォーラムがジェンダーギャップ指数と順位を発表した。政治分野で女性閣僚が過去最多に並ぶ5人となったことで少しだけスコアが上がり順位も146か国中118位になった(前回125位)。
 深刻なのは経済参画で、同一労働における賃金の男女格差と管理的職業従事者の男女比率の低さが指摘されており、このままでは「ジェンダー公正の達成まで134年かかる。これは5世代分に相当する」のだそうだ。
 政治・経済分野で女性が普通に 活動できる日はまだまだ遠いのか。
(加納花枝)