改憲の動きをウオッチング

(2024年7月10日号)

2024/07/10
■「岸田改憲」破綻 ストップ改憲の世論いっそう盛りあげよう
 総裁就任以来、今年9月までの任期中に改憲を実現すると繰り返し公言してきた岸田首相。実現のタイムリミットとされた通常国会は、憲法審査会で改憲案が作れず、改憲発議をすることができなかった。「岸田改憲」の破綻である。
 改憲5党派(自民、公明、維新、国民、「有志の会」)の苛立ちと策動については前号で触れた。その5党派は通常国会閉会後も条文案作成のため、閉会中審査を求めている。
 岸田首相も閉会後の記者会見で「改憲の機会を国民に提起するのは政治の責任だ」と条文案作りの促進を促した。
 一方、立憲は欠陥法と言われる国民投票法の改定を「改憲発議の前提だ」としてかねてから主張している。最低投票率の設定や有料意見広告の規制などを求めている。
 立憲野党と改憲派の攻防を注視し、ストップ改憲の世論を盛りあげよう。
■「慰霊の日」平和宣言沖縄の強い危機感 再び戦場にしない
 沖縄戦から79年。6月23日、沖縄戦で尊い命を落とした20万人余りの人々に心を寄せ、平和を誓う「慰霊の日」を迎えた。「慰霊の日」は、沖縄戦の組織的戦闘が終結した日とされる。糸満市摩文仁の平和祈念公園で、沖縄全戦没者追悼式が開かれた。
 玉城知事は平和宣言(以下、「宣言」)の中で「私たちは、あの悲惨な体験から戦争の愚かさ、命の尊さ、平和の大切さという教訓を学んだ」と強調し、沖縄の現状について「広大な米軍基地の存在、米軍人等による事件・事故、米軍基地から派生する環境問題など過重な基地負担が、今なお、この沖縄では続いている」と指摘。
 また、2022 年の「安保3文書により、自衛隊の急激な配備拡張が進められており、悲惨な沖縄戦の記憶と相まって、私たち沖縄県民は、強い不安を抱いている」と述べた。政府に対する厳しい抗議の声だ。
 また、このような沖縄の現状は、参列した岸田首相らに「無念の思いを残して犠牲になられた御霊を慰めることになっているか」と問いかける。
 岸田首相はあいさつで、辺野古新基地建設や自衛隊増強などに触れなかったが、「会場から激しいヤジが飛んだ」と琉球新報は報じている。
 そして「宣言」は、「沖縄県民が願う、平和の島の実現のため、在沖米軍基地の整理・縮小、普天間飛行場の一日も早い危険性の除去、辺野古新基地建設の断念など、基地問題の早期解決を図るべきだ」と政府に迫っている。
 さらに「宣言」は、世界の平和と安定に向けて「それぞれの価値観の違いを認め合い、多様性を受け入れる包摂性と寛容性に基づく平和的外交・対話などのプロセスを通した問題解決である」と強調している。
 最後に「宣言」は「今こそ、私たち一人ひとりに求められるのは、不条理な現状を諦めるのではなく、微力でも声をあげ、立ち上がる勇気、そして、行動することである」と訴えている。 
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