ひょうごミュージアム

ひょうご描き歩き151
明石城(明石市)

2024/06/26
 明石駅のプラットホームからも正面に眺められる明石城は緑豊かで、白壁の長い塀の東西の両端に三層の巽櫓(東端)と坤櫓(西端)の2基の櫓が白く輝く。三重櫓は日本に12基しか現存しないそのうちの2つで、国の重要文化財に指定されている。派手さはないがしっとりとした趣のある風情を醸していて心安らぐ眺めである。
 明石、三木、加古、加東の4郡10万石を領する明石藩が誕生し、その初代藩主に信濃松本から国替えで徳川家康の曾孫の小笠原忠政(後の忠真)がやってきた。外様大名の多い西国の備えとして二代将軍秀忠の命を受け明石城を築城した。この平山城には天守台はあるが天守閣は造られなかった。天守閣の代わりをなしたのが坤櫓で、今あるその櫓は伏見城や三木城からの資材を使って築かれたものと推定されている。
 駅から西寄りに堀に架かる橋を渡って太鼓門から中に入ると、芝生公園が広がり、さらに野球場や陸上競技場、テニスコートなどが続き、城を中心にして一帯は県立の明石公園として明石市民憩いの場となっている。日本の都市公園100選にも選ばれ、四季を通じて花と木々が豊かな公園である。石垣の上に上がりそこから見下ろすと、明石の街並の先に海峡を隔てて淡路の島影が迫る。
(嶋谷)