改憲の動きをウオッチング

(2024年6月26日号)

2024/06/26
■苛立つ改憲5党派 はねかえそう改憲策動
 「国の根本を定める憲法を改めるには、通常の法案以上に、丁寧で幅広い合意形成が求められる。ましてや、その必要性などをめぐって各党間に隔たりのあるテーマである。『数の力』を頼んで、賛成会派のみで条文案を国会に提出すべきではない」
 6月12日付の朝日新聞社説である。
 岸田首相は「総裁任期中(9月まで)の改憲を実現する」と繰り返し公言してきた。その時期が迫ってくる中、改憲5党派(自民、公明、維新、国民、「有志の会」)が苛立ちを見せている。
 自民(中谷・与党筆頭幹事)は5月末の衆院憲法審で、「立憲が応じなければ議員任期の延長に賛同する『5党派』だけで改憲の条文案を検討したい」と表明した。自民は4項目の改憲案をまとめているが、非常時に政府に権限を集中させる緊急事態条項には国民の反対が多くても、議員任期の延長なら受け入れられやすいという判断であろう。
 これに立憲、共産が猛反発。立憲の参院国対委員長は「条文案づくりを強行すれば、参院の全ての法案審議に応じない」と自民を強くけん制。その後、自民内でも慎重論が相次ぎ、全会派の参加をめざすということになった。
 今国会中に開かれる衆院憲法審の定例日は13日と20日の2回しかない。会期の延長や閉会中審査がなければ、総裁任期中の「岸田改憲」は困難になった。
 あらゆる改憲策動を跳ね返し、「岸田改憲」を断固阻止しよう。
■安倍政権の戦争準備を引き継ぎ、 いっそう推進する岸田政権
 戦争法の成立を強行し、国政を私物化して民主主義と立憲主義を踏みにじった安倍内閣は、史上最悪の政権と言われたが、岸田政権もそれに勝るとも劣らない政権だ。
 安倍政権の「戦争する国づくり」への主な法律や解釈改憲を改めて見てみよう。戦争の司令部の役割を担う国家安全保障会議(日本版NSC)設置法の強行成立(2013年11月)。国民の目・耳・口をふさぐ秘密保護法制定(12月)、究極の9条解釈改憲―集団的自衛権の行使容認を閣議決定(14年7月)、さらに戦争法(安保法制)を強行成立させた(15年9月)等々、一目散に「戦争する国づくり」を推進した。
 いま、岸田政権は安倍政権に続き、「戦争する国づくり」に向かって突っ走っている。「戦争する国づくり」を推進する2つの法律が5月10日、参院本会議で成立した。兵器の共同開発を推進するために米国など同盟国・同志国と同等の秘密保全体制を整備する経済秘密保護法と自衛隊の陸海空の各部隊を一元的に指揮する「統合作戦司令部」の創設を盛り込んだ改定防衛省設置法である。
 2つの法律に続いて6月5日、参院本会議で、日・英・イタリア3カ国が次期戦闘機の共同開発・生産・輸出を担うための政府間機関(GIGO)を設立する条約締結承認案が可決・承認された。殺傷兵器の輸出に大きな道を開く。
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