新社会兵庫ナウ

地域ユニオンあちこちあれこれ432
ワンマン経営の企業とのたたかい

2024/06/12
 K石油(株)はK社長が経営する稲美町にあるガソリンスタンドで、長年ワンマン経営が続き、従業員は定着せず、常にネットで募集している状態だった。そこで働くIさん(男・40代)から、募集要項の内容と実態にかなりの相違があるため、はりまユニオンに相談があった。
 募集要項では「月給35万円、実働1日8時間、月6日休日、賞与有り」となっていたが、実際は午前8時〜午後8時までの勤務で、休憩は昼の30分、休みは日曜とK社長の指定する月1日のみだった。
 Iさんは面接時に、子どもの面倒を見る必要があるので、日曜以外に月2回は休みたいと申し出ていたが、自己都合で休むと欠勤扱いされた。
 はりまユニオンではIさんが採用された2023年7月からの勤務実態等を調査し、時間外手当の未払いをはじめとする交渉を行うことにした。
 K石油(株)は、従業員のことを考える経営を意識していないことは明白だった。初めての交渉の席には弁護士が2人も同席し、雇用契約書を出さないことを追及すると、K社長は「出すと法律にひっかかるから」など、自ら墓穴を掘る発言を繰り返した。さすがに弁護士もこれを制止する状況だった。こちらが追及すればするほど、泥縄式の書類を作成してきた。
 月給35万は時間外を含んでの額だと言い張るK石油と、基本給を示し時間外を積算し直すよう要求するユニオンとの交渉は複数回に及んだ。2023年10月から始まった交渉は年明けの1月になり、ユニオンが提示した時間外の遡及を飲む形で終え、Iさんは会社には戻らない選択をした。
 Iさんは、はりまユニオンに相談したことで一定の解決は図られたが、K石油のようなワンマン経営の会社は日本中に多くある。Iさんが退職した後も、同じ内容でネットに募集があがっているというから驚きだ。これにはK石油の弁護士も驚いていた。
 労働者が組織され、不当な経営を改善させる取り組みが必要だ。
北川寿一(はりまユニオン副委員長)