改憲の動きをウオッチング

(2024年6月12日号)

2024/06/12
■「戦争する国づくり」への道を突き進む法律が次々と成立 次期戦闘機共同開発条約は衆院で可決、参院へ 岸田政権
 参院本会議で5月10日、経済安全保障上の機密情報を扱う民間人らを身辺調査できる経済秘密保護法と、「統合作戦司令部」の創設を盛り込んだ改定防衛省設置法が自民、公明、立憲、維新、国民の賛成多数で可決・成立した。共産党、れいわ新選組は反対、立憲会派に所属する社民党議員2人は退席した。
 また、衆院本会議は14日、日・英・イタリア3カ国が次期戦闘機の共同開発・生産・輸出を担う国際機関を設立するための条約締結承認案を賛成多数で可決した。
 定防衛省設置法は自衛隊の陸海空の各部隊を一元的に指揮する「統合作戦司令部」の創設が柱。東京新聞は「統合作戦司令部」について、「自衛隊と米軍の指揮・統制枠組みをそろえ、共同対処力を高めることが目的」「圧倒的な軍事力と情報収集能力を持つ米軍の判断に引きずられ、日本の指揮権の独立性が損なわれる日米一体化の懸念は、審議を経ても解消されなかった」と指摘している。自衛隊が米軍の指揮下に組み込まれる恐れがあり、日米一体化がさらに進む戦争法が強行され成立した。岸田首相は、安倍元首相の特定秘密保護法や国家安全保障会議の創設、集団的自衛権の容認などに続いて戦争への道を突っ走っている。
■辺野古基地訴訟 原告適格認め地裁に差し戻し福岡高裁支部
 辺野古新基地建設に関する訴訟では、これまで具体的な審理に入ることなく、原告適格(訴訟を起こし、裁判を受ける資格)を認めず、門前払いが続いていた。福岡高裁那覇支部から5月15日、画期的な判決が出た。
 辺野古周辺の住民が埋め立て承認撤回を取り消した国土交通相の裁決の取り消しを求めた訴訟で、福岡高裁那覇支部は「原告適格がないとして訴えを却下した一審那覇地裁判決を破棄し、審理の差し戻しを命じた」(琉球新報)。原告住民の訴えが認められたのは初めてのことである。
裁判長は判決理由で、辺野古周辺に住む住民4人の原告が、新基地建設に伴って起こり得る航空機の騒音や航空機事故などの「著しい被害を直接的に受けるおそれのある者にあたる」として原告適格を認めた。
 原告らは、国に上告の断念を求めている。要請書は「新基地建設を進めようとするのなら、自らの正当性と適法性を正々堂々と主張し、司法の判断を仰ぐべきだ」と強調し、最高裁への上告を断念せよと迫った。
 実質的な審理から逃げたい国は28日、最高裁に上告した。最高裁は今後、国の上告を受理するかどうかを判断する。
 最高裁が国の訴えを受理した場合は、小法廷で二審判決が審理される。不受理になれば、一審の那覇地裁への差し戻しを命じた二審判決が確定し、一連の訴訟では初めて、辺野古の埋め立てを巡る実質的な審理が行われる(同紙)。
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