新社会兵庫ナウ
水脈(2020年6月9日号)
2020/06/16
慣れは、ある意味、怖い。何度も目や耳にしていると、当初の違和感や抵抗感は薄れ、やがてさほど気にならなくなってしまうことが少なくない。コロナ禍で、アベノマスクこそまだだが、マスク姿は今やほぼ100%近い着用率で、普通の光景になってしまった。「三蜜」という言葉なども、ずっと前からあったかのように定着した感じだ▼だが、何度接してもどうしても馴染めないもの、受け入れられないものも、もちろんある。コロナ対応の緊急経済政策について語る安倍首相の言辞がその部類だ。演説をプロンプターに頼る姿はさておいても、何の躊躇も、反省もなく飛び出てくる大げさな言葉には寒気を覚える。「一気呵成に」「空前絶後」「世界で最大級の」……。現実との落差の大きさがすぐに分かってしまう、噓に近い粉飾もあるのに、自画自賛で平然と語ることができるその姿に、言葉の軽さだけでなく、傲慢な本性を見るような気がして腹立たしい▼個人的にもあまり何度も見たくないものには早く退出を願いたい。長年の「一強体制」にもいよいよ綻びが見え始め、「法の支配」さえ蹂躙する政権運営には世論も厳しい反応だ。2社の調査で支持率は30%を切った。もうフェイドアウトのときだろう。