新社会兵庫ナウ

地域ユニオン あちこちあれこれ(2020年6月9日号)

2020/06/16
組合員に翻弄されながらも組織力で成果獲得
 通信制高等学校に契約社員として働くA組合員については、昨年3月の団体交渉で雇用継続を認めさせた経過がある。そして、今年3月末が無期労働契約への転換となる5年を迎える時期となっていた。このため、A組合員は次期雇用が正社員となるよう強く希望し、ユニオンとして雇用期間の終了が近づく昨年10月に要求書を提出して団体交渉を行うこととした。
 会社側は、これまでA組合員には担任を持たせなかったり、数人でやっていた業務をA組合員一人にさせたり、イジメとも思えるような扱いとパワハラを行い、同僚や後輩までもが彼に嫌がらせを行うようになっていた。
 11月に行った1回目の団体交渉で、会社側はA組合員の雇用継続はまだ断言できないとし、彼の生徒指導の状況等について取り上げてきた。ユニオンとして、本人にはあらかじめ、交渉の場ではイジメ、パワハラの具体的な事実をしっかり主張するよう話してきたが、A組合員は感情的なことばかりを主張して団体交渉は終わってしまった。
 その後、勤務継続は精神的負担が大きいとの本人の気持ちの変化を受けて、当初の要求を改め、今年4月までの雇用を要求する内容に切り替え、2月に再度要求書を提出して2回目の団体交渉を行った。ここでもA組合員は感情が先走っていたが、4月1ヶ月間の雇用や解決金支給など一定評価できる回答が得られたため団体交渉を妥結することとした。
 ところが驚いたことに、A組合員は後日になって、妥結した内容以外にも会社に要求をメールで送り個人的にもやりとりをしていたのだ。
 2回にわたる団体交渉で、生徒指導ができていないという会社側の主張に具体的な反論ができず、A組合員の正当性の確保ができなかったこと、また、結果的に退職となったことは大変残念な結果であった。しかし、A組合員に翻弄されながらも多くの有利な条件を勝ち取ることができたことは、ユニオンの組織力と評価できるのではないかと胸をなでおろしている。
島田 斉(但馬ユニオン書記長)